NECは2014年からマイドットの研究開発を続けてきた。石山氏によると、ペンで書いた“点”の画像認識を実現するには、一般の画像認識アルゴリズムとは異なる特殊なアルゴリズムの開発が必要だったという。
人や車などが写った普通の画像を認識する場合、明暗の方向が際立つ角や縁など、照合しやすい部分を特徴点として抽出できる。だが、ペンで書いた“点”の粒子が描く模様は明暗の方向が定まりにくいため、従来のアルゴリズムで画像認識すると、照合に適さない特徴点が大量に出てしまう。
そこで、抽出した数百点の特徴点の中から、照合に適した特徴点を絞り込むアルゴリズムをNECは開発した。数百点もの特徴点を抽出するのは、“点”の粒子が描く模様の特徴点が部分的には合致してしまうためだ。
新アルゴリズムの開発により、“点”の高精度な識別が可能になった。石山氏は、「誤判定の割合を調べるために1万個の“点”を全通り(1万×1万通り)識別する実験を実施し、確率的に少なくとも数十万個の識別が可能であることを実証した」という。
NECは今後、2年後をめどにマイドットの実用化を進める。最初の1年はマイドットの採用を検討する潜在ユーザーにビジネスモデルを提案し、2年目には各ビジネスモデルに適したアプリケーションなどを開発していくとしている。
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