2MHzのスイッチング動作を行いながら、最大60Vの入力電圧を最小2.5Vの出力電圧に変換できる降圧DC-DCコンバーターを、ロームがマイルドハイブリッド自動車などの48V系電源システム向けに開発した。
ロームは2017年7月27日、車載に必要な2MHzのスイッチング動作と24:1の降圧比(60V入力、2.5V出力)を兼ね備えたMOSFET内蔵降圧DC-DCコンバーター「BD9V100MUF-C」を開発したと発表した。マイルドハイブリッド自動車などの48V系電源システムに向けて展開する。
BD9V100MUF-Cは、ローム独自の超高速パルス制御技術「Nano Pulse Control」を搭載した車載用電源IC。同技術により、ローム従来品の約10分の1となるスイッチングオン時間9ナノ秒を達成しており、2MHzのスイッチング動作時でも最大60Vの高入力電圧を最小2.5Vの低出力電圧に変換できる。同社はこのスイッチングオン時間を「業界最小」としている。
これまで48V系電源システムでは、12Vなどに中間電圧を作り、2段階で降圧しなければならなかった。従来の電源ICには、2MHzのスイッチング動作を常に行いながら、ECU(Electronic Control Unit)の駆動に必要な3.3Vや5Vに、直接48Vから降圧できるものがなかったからだ。
だが、BD9V100MUF-Cを使えば、48Vから3.3Vや5Vへの降圧が、1つの電源ICだけで可能になる。結果として、部品点数が半分になり、アプリケーションの小型化やシステムの簡略化、高周波動作による外付け部品(コイル)の小型化が実現する。
BD9V100MUF-Cはウェッタブルフランクパッケージ「VQFN024V4040」に封止されている。主な仕様は、サイズが4×4×1mm、入力電圧範囲が16〜60V、出力電圧範囲が0.8〜5.5V、出力電圧精度が±2%、動作周波数が1.9M〜2.3MHz、最大出力電流が1A、動作温度範囲が−40〜125℃だ。
ロームは2017年7月から、BD9V100MUF-Cのサンプル出荷を1個当たり1000円で開始している。2017年12月には、月産10万個の体制で量産を開始する予定だ。生産は前工程をローム浜松、後工程をROHM Electronics Philippinesが担うという。
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