検出精度80%以上、コンクリートひび割れ点検AI:作業時間を10分の1に短縮(2/2 ページ)
AISTコンピュータビジョン研究グループ主任研究員の永見武司氏によると、教師あり学習とディープラーニングを併用したことが、実用に足る検出精度を備えたコンクリートひび割れ点検システムの開発に結実したという。
永見氏は、「開発したAIシステムでは、特徴量の学習とひび割れの最終的な識別に従来型の機械学習を用い、それらの間の段階でティ―プラーニングを活用している。ディープラーニングを活用するのは、特徴量を基に2D画像から“ひび割れらしき谷間”を見つけ出し、従来型の機械学習だけを用いたときよりも、識別の精度をさらに高めるためだ」と説明した。
特徴量の学習でディープラーニングを用いなかった理由については、「ディープラーニングによる特徴量の学習を試したところ、ひび割れの識別精度は62%にとどまった。ディープラーニングで特徴量を学習し、識別の段階で高い精度を出すには、現状ではサンプル数が少な過ぎる」と述べた。
AISTらは今後、開発したAIシステムの実証実験を首都高速道路などのコンクリート建造物で重ねる。また、点検事業者を対象にひび割れ検出Webサービスを無償で提供し、AIシステムの検出精度や作業効率などの有効性を検証する。提供期間は、今回のNEDOプロジェクトが終了する2018年度末までとなる。
ひび割れ点検支援システムのイメージ 出典:NEDO(クリックで拡大)
- 水害対策にAIを活用へ、川の氾濫の危険度を判別
茨城大学とNECは、人工知能(AI)技術を活用した「水害対策支援システム」の実証実験を茨城県水戸市内で始める。
- 応用例で見る、ルネサスの組み込みAI
AI(人工知能)機能を持つ組み込み機器の登場が、スマートな社会を身近なものとする。ルネサス エレクトロニクスはセキュアで自律的に動作する組み込み機器を開発するための「e-AIソリューション」を提案する。
- 内視鏡診断にAIを活用、大腸がんの即時発見へ
NECと国立がん研究センターが、大腸がんや前がん病変(大腸腫瘍性ポリープ)を内視鏡検査時にリアルタイムで発見できるAI(人工知能)を開発した。大腸がん発生の原因となる大腸腫瘍性ポリープの見逃し率を減らすことが期待できる。
- AIで複数の同時音声を分離、再現率は驚異の90%
三菱電機は研究成果披露会で、同社独自のAI技術「ディープクラスタリング」を用いた音声分離技術を発表した。この技術では、マイク1本で録音した複数話者の同時音声を分離し、きれいに再現できる。従来の技術では原音再現率が51%だったが、三菱電機の音声分離技術の場合90%以上となる。
- もう1つのAIが創り出す「空中映像」に触れる
アスカネットは、「Aerial Imaging-空中ディスプレイ」と呼ぶ空間映像技術について、プレスカンファレンスを開催した。同社のAIプレートは、高輝度な空中映像を実像として結像できるという。
- 脳波の状態から自動で作曲を行うAI、大阪大学など
大阪大学の沼尾正行氏らの研究チームは、楽曲に対する脳の反応に基づき自動で作曲を行う人工知能の開発に成功した。音楽で手軽に脳の活性化に結びつけることが期待される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.