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検出精度80%以上、コンクリートひび割れ点検AI作業時間を10分の1に短縮(2/2 ページ)

» 2017年08月07日 13時30分 公開
[辻村祐揮EE Times Japan]
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教師あり学習の採用で実用水準の精度に

 AISTコンピュータビジョン研究グループ主任研究員の永見武司氏によると、教師あり学習とディープラーニングを併用したことが、実用に足る検出精度を備えたコンクリートひび割れ点検システムの開発に結実したという。

 永見氏は、「開発したAIシステムでは、特徴量の学習とひび割れの最終的な識別に従来型の機械学習を用い、それらの間の段階でティ―プラーニングを活用している。ディープラーニングを活用するのは、特徴量を基に2D画像から“ひび割れらしき谷間”を見つけ出し、従来型の機械学習だけを用いたときよりも、識別の精度をさらに高めるためだ」と説明した。

 特徴量の学習でディープラーニングを用いなかった理由については、「ディープラーニングによる特徴量の学習を試したところ、ひび割れの識別精度は62%にとどまった。ディープラーニングで特徴量を学習し、識別の段階で高い精度を出すには、現状ではサンプル数が少な過ぎる」と述べた。

 AISTらは今後、開発したAIシステムの実証実験を首都高速道路などのコンクリート建造物で重ねる。また、点検事業者を対象にひび割れ検出Webサービスを無償で提供し、AIシステムの検出精度や作業効率などの有効性を検証する。提供期間は、今回のNEDOプロジェクトが終了する2018年度末までとなる。

ひび割れ点検支援システムのイメージ 出典:NEDO(クリックで拡大)
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