Facebookは、機械学習で作成した視覚効果をスマートフォンに搭載する技術を開発中など、人工知能(AI)をスマートフォンに取り入れることに積極的になっている。
Facebookは、グラフィックAPI(Application Programming Interface)である「OpenGL」を使用し、スマートフォンに機械学習(マシンラーニング)で作成した視覚効果を導入する取り組みを行っているという。同社は、「オープンAPIは、iOS端末やAndroid端末に優れた性能を提供することができるが、Khronos Group(クロノス・グループ)のAPI『Vulkan』やAppleの『Metal API』のような最新のAPIに移行することにより、モバイルグラフィックスプログラミングをもっと簡素化すべきだ」と主張している。
これは、米国カリフォルニア州サンノゼで2017年8月31日に開催された、ソフトウェアエンジニアを対象としたソーシャルネットワークイベント「@Scale」で発表されたニュースの1つである。この他にも、銅ベースのはんだを発表した企業や、16レンズカメラのデモを披露した新興企業、コンピュータストレージにDNAを適用する取り組みについて進展を説明した研究者など、さまざまな開発成果が発表された。
Facebookは、こうしたイベントを複数の都市で開催することにより、オープンソースソフトウェアを使用して共同エコシステムを構築し、大規模なデータセンターにとって悩みの種となっている、重大な課題を解決していきたい考えだ。
同社は自社ブースにおいて、独自開発したOpenGLベースの推論コードを使用し、スマートフォンのカメラ上で30〜45フレーム/秒(fps)で動作可能な、画像認識技術や特殊効果フィルタを披露した。このフレームレートは、Qualcommが、SoC(System on Chip)「Snapdragon」向けに開発した、新しいニューラルネットワーク用SDK(ソフトウェア開発キット)を上回っているという。
Facebookは、少なくとも今後2〜3年の間、スマートフォンで、OpenGLベースの推論コードを複数世代にわたり導入していく予定だとしている。同社は、2017年4月に開催したイベントにおいて、初めて携帯端末向けの機械学習推論を発表した。
OpenGLは、携帯電話機で広く採用されているが、比較的古いため、プログラムが難しいAPIである。最新のVulkanやMetal APIは、高性能でプログラミングも容易だが、今のところ数種類のハイエンドスマートフォンにしか採用されていない。
Facebookは、スマートフォン用AIサービス向けとして、Qualcommのニューラルネットワーク用SDKを使用していないが、イベントに集まった3000人を超える開発者たちに対し、Qualcommの同SDKに関連する講演をぜひ聴講してほしいと呼び掛けた。
Facebookで、エンジニアリング&インフラストラクチャ部門のトップを務めるJay Parikh氏は、「民生機器向けに拡張できたり、民生機器上で動作できるようになっていたりすることは、極めて重要なポイントだ。ニューラルネットワーク用SDKが用意されたことで、Snapdragonは、一部の機械学習タスクの性能を5倍に高められた」と述べている。
また、Facebookは現在、ライブコードを約2時間ごとに数十から数百カ所変更し、アップデートしているということも明らかにした。Googleは今回のイベントの中で、自社が提供する言語翻訳サービスの他、2億個にも上る膨大な数の命令行を含むシステムなどについても、説明を行っている。
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