米国の航空機製造会社Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)からスピンオフした企業であるKuprionは、@Scaleの展示フロアにおいて、ハードウェアを展示していた数少ない企業の1つだ。同社が披露した銅ベースのはんだは、既存の鉛ベースのスズよりも熱伝導率および電気伝導性が高く、スズのウィスカを発生させないという。
Lockheed Martinはもともと、軍事プロジェクト向けに、「Cuantumfuse」と呼ばれるナノ材料を開発していたが、1000℃に耐え得るはんだを必要としていたという。
今回の新材料は、室温では練り歯磨きのようなペースト状だが、200℃まで加熱すると、頑丈な金属になるという。
現在、十数社の顧客企業が、かつてLockheed Martinの研究所だった製造施設において、このはんだを使用した製品を製造しているが、その中には少なくとも4社の大手製造業者が含まれているという。
米University of Washington(ワシントン大学)でCompuert Science & Engineeingの教授を務めるLuis Ceze氏は、イベントで基調講演に登壇し、DNAストレージについて論証している。同氏の研究所は、Microsoft Researchとの協業によって技術開発に取り組んできたという。
この技術は、現在まだ研究段階にあるが、1エクサバイトのデータを1立方インチ(約16cm3)に集積し、10万年以上保持することができる上、酵素タンパク質の連鎖反応を利用することで、素早くコピーすることが可能だという。ただし、主な欠点として、読み出し速度が1週間当たり約1Mビットであるという点が挙げられる。
Ceze氏は、「DNAは、ヨタバイトクラスの容量を実現できる可能性を持っているが、アクセスに何時間もかかってしまうため、超低発熱のストレージ向けでなくてはならないだろう」と述べる。
同氏は、「これまでは、合成DNAの30億個のヌクレオチドに、約250Mバイトのデータが保存されていた。アクセス時間は遅いものの、DNAからの読み出しおよび書き込み速度が向上したケースも一部あり、ムーアの法則よりも速いペースで進化を遂げている」と述べている。
「将来的には、タンパク質ベースのコンピュータが登場し、シリコンの1万倍という高効率を実現するのではないだろうか。これまで自然の力によって進化を遂げてきた分子ストレージと処理技術を利用することにより、われわれは今後、全く新しい方法でコンピュータを開発できる可能性がある」(Ceze氏)
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