グラフィックスなど向けにオープンな業界標準API(Application Programming Interface)の仕様策定を行うKhronos Group(クロノス・グループ)は、VR(仮想現実)およびAR(拡張現実)向けに、クロスベンダーのプラットフォームを構築しようとしている。独自のゲームエンジンやデバイスドライバーが乱立するVR/AR市場の障壁を取り除き、成長を加速することが狙いだ。
VR(仮想現実)およびAR(拡張現実)市場が加速している。IDCが2017年8月に発表した予測によると、VR/AR関連市場は、2017年の114億米ドルに対して、2021年は約2150億米ドルに達する見込みだ。2016年から2021年にかけての年平均成長率(CAGR)は113.2%に上る。
特にVRは、「Unity」や「Unreal Engine」などのゲームエンジン、Oculusの「Oculus Rift」、Samsung Electronicsの「Gear VR」、ソニーの「PlayStation VR」などのVR端末のように、ハードウェアとソフトウェアが充実してきている。
一方で、こうした状況につきものの課題もある。プラットフォームの乱立だ。各社が独自にプラットフォームを構築しているため、例えば、あるコンテンツを複数のVR端末に対応するよう開発するとなると、開発者側にかなりの手間が増えてしまうのである。これは、VR/AR市場の成長を遅らせる要因にもなっている。この障壁がなくなれば、上記でIDCが予測した以上のスピードで市場が成長する可能性もある。
その課題に取り組んでいるのが、Khronos Group(クロノス・グループ、以下クロノス)だ。クロノスは2017年2月、VR/AR向けのクロスプラットフォームAPI(Application Programming Interface)「OpenXR」を発表した。クロノスは現在、OpenXRの標準仕様の策定を進めていて、2018年上期には完了する予定だ。OpenXRは、VRとARの両方を対象にしているが、クロノスの代表を務めるNeil Trevett氏によれば、まずはVRに焦点を当てるという。
OpenXRのワーキンググループのメンバーは、以下の図の通りだ。クロノスによれば、これらの他にも、数多くの企業が参加を表明しているという。
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