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意味不明の「時短」は、“ツンデレ政府”のSOSなのか世界を「数字」で回してみよう(45) 働き方改革(4)(1/11 ページ)

「働き方改革」において、「生産性」に並ぶもう1つの“代表選手”が「時短」、つまり「労働時間の短縮」ではないでしょうか。長時間労働の問題は今に始まったことではありませんが、どうしても日本では「時短」がかなわないのです。それは、なぜなのでしょうか。

» 2017年11月20日 11時30分 公開
[江端智一EE Times Japan]
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「一億総活躍社会の実現に向けた最大のチャレンジ」として政府が進めようとしている「働き方改革」。しかし、第一線で働く現役世代にとっては、違和感や矛盾、意見が山ほどあるテーマではないでしょうか。今回は、なかなか本音では語りにくいこのテーマを、いつものごとく、計算とシミュレーションを使い倒して検証します。⇒連載バックナンバーはこちらから


「朝活」なんてしませんが、何か?

 私は、会社のフレックスタイム制度を使って、朝遅く出勤し、夜遅く帰宅しています。そのおかげで、通勤電車の中での着席率はほぼ100%で、電車の中でノートPCを使って、特許明細書のアイデア出しや、この文章を執筆をしています。通勤電車は、私にとっては貴重な「移動書斎」です。

 「朝活」がもてはやされて久しいです。私も、流行にのって、一時期「朝活」をやってみたことがありますが、すぐに止めました。私の「移動書斎」を超えるメリットが1つも見いだせなかったからです。

 ラッシュ時を終えた後の朝の電車は、ラッシュ時のギスギスした雰囲気はなく、とても穏やかで静かな空間ですし、深夜の電車は、缶ビールを黙って飲むだけの男性、疲れ果てた様子でスマホをいじる女性しかいない―― 閑散としたモノトーンの陰鬱(いんうつ)な ―― 空間です。これは、私のような『世間のトレンドに逆行するネタで喰っている偏屈なライター』としては、最高の執筆環境なのです。

 私は、「朝活」と同様に、私は「時短(労働時間短縮)」とか「時間外労働」についても、そのメリットを実感できていません ―― そして、執筆中の今現在も、やはりよく分かっていません。

 今回は、私のこの「分からない」の履歴を、順を追って説明したいと思います*)

*)どなたか、この「分からない」について、私の頭でも理解できるように説明して頂けるのであれば、喜んで参上致しますので、ぜひご連絡ください。

8時間以上の労働は、全て違法行為!?

 こんにちは、江端智一です。

 今回は、政府が主導する「働き方改革」の項目の1つである、「時間外労働」について考えていきたいと思います。

 政府が、「働き方改革実効計画」の「時間外労働」で掲げている課題は、(私が乱暴に理解した範囲では)以下の通りです。

 前回同様、上記の内容、私には何を言っているか分からなかった(時間外労働が、どうして残業時間を短くする、の話になるの?)ので、今回はこの記載内容は無視して進めることにします。

 それと、今回の「時間外労働」や「時短」については、検索すれば、さまざまなデータや見解が簡単に見つかりますので、今回は、取り扱うテーマを限定することにしました。具体的には、「検索エンジンンでは簡単に見つからない内容」であって、かつ、「私には分からない内容」のテーマのみに注力したいと思います。

 とはいえ、取り扱わないテーマについても、以下に簡単に説明します。

(1)日本の労働時間は減少している(ように見える)

(1990年(2064時間/年)→2015年(1734時間/年)で330時間も減少。年間13.2時間づつ減少、1日当たり3分6秒の減少

(2)正規雇用の労働時間の改善は絶無

しかし、その実体は、非正規雇用の人口増大に因るものであり、正規雇用の労働時間の減少は、22年間でわずか19時間の減少。年間0.9時間、1日当たり12秒の減少

(3)長時間労働者(週49時間以上)の割合は世界ワースト3位

韓国、香港について3位、以下、アメリカ、オーストラリア、イギリスと続く。日本だけが飛び抜けて悪い訳ではない(間違いなく「悪い」けど)

(4)サービス残業はデータに反映されていない

労働時間は、基本的に使用者側からの申告であり、申告されていない以上、データとして記録されない*)

*)個人のスマートフォンをトラッキングでもしない限り、正確な値は分からないでしょう。

 まず「私の分からないこと」として、「時間外労働」について調べたのですが……、本当にビックリしました。「8時間以上の労働は、全て違法行為」だということを初めて知ったからです。

 一言で言えば、1日8時間以上かつ週40時間以上の労働は、『法定速度40km/hの道路を、それ以上の速度で走行する』のと同様の違法行為なのです。100時間労働なんて、暴走車と同じです。

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