毎年2月に開催される、半導体チップの回路技術とシステム技術に関する国際学会「ISSCC(国際固体回路会議)」。えり抜きの論文が発表される重要なイベントだ。今回から始まる本シリーズでは、開催を2カ月後に控えたISSCCについて、概要と注目論文を紹介する。
半導体の研究開発コミュニティーにとって、冬は巨大イベントの季節だ。冬の寒さを吹き飛ばす、熱いイベントが用意されている。その1つが半導体チップのデバイス技術とプロセス技術に関する国際学会「IEDM(国際電子デバイス会議)」で、毎年12月上旬に開催されている。もう1つは半導体チップの回路技術とシステム技術に関する国際学会「ISSCC(国際固体回路会議)」であり、毎年2月上旬に開催されている。
本コラムでは前回まで、IEDM(国際電子デバイス会議)の概要を連載でプレビューしてきた。今回からは、2018年2月に開催されるISSCC(国際固体回路会議)のプレビューを連載でお届けする。
ISSCCとはInternational Solid-State Circuits Conferenceの略号で、「アイエスエスシーシー」と発音されている。日本語では「国際固体回路会議」となるが、この呼称はあまり使われていない。日本の研究開発コミュニティーでは、「ISSCC(アイエスエスシーシー)」と呼ぶことが一般的だ。
ISSCCがカバーするのは主に、回路技術とシステム技術の研究開発成果である。特に重視しているのが、実際に回路を試作していることだ。回路を設計してもシミュレーションだけでは、発表論文には採択されない。発表形式は口頭での講演が基本である(一部、学生だけを対象とするポスタセッションがある)。回路技術の研究者にとっては、ISSCCで研究成果を発表することが、研究業績の高い評価に直結する。ISSCCは優れた研究成果を発表する「晴れ舞台」でもある。
ISSCCでの口頭発表を目指して投稿される論文の数は約600件に達する。その中で毎年、約200件の論文が採択される。ちなみに来年(2018年)2月のISSCC(ISSCC 2018)では、投稿論文の数が611件、採択論文の数が202件となっている。採択率は約33%になる。
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