旭化成は、走行可能な次世代コンセプトカー「AKXY」を公開した。自動車の安全性や快適性の向上、環境対応などを考慮した、さまざまな自社製品や新技術が搭載されている。
旭化成は、「オートモーティブ ワールド 2018」(2018年1月17〜19日、東京ビッグサイト)で、さまざまな自社製品や研究中の新技術を搭載して開発した、実走行が可能な次世代コンセプトカー「AKXY」を展示した。
同社はこれまで、繊維や高機能樹脂、合成ゴム、半導体デバイスなどグループの強みを生かした製品を、自動車向けに供給してきた。各事業部門を合計するとその規模は全社で1800億円に達しており、中期経営計画の中でも自動車向け事業は重点分野の1つとなっている。
2016年4月にはオートモーティブ事業推進室を新設し、事業横断的な情報発信や営業推進サポートを行っている。AKXYの開発もその一環である。旭化成グループが手掛けている主力製品や次世代の部材/システムなどを搭載し、「自動車の安全、快適、環境への貢献」をより具体的に実践する狙いがある。
同社が注力する研究の1つにセンシング技術がある。ブースでは展示されたAKXYに来場者が乗り込み、ドライバーモニタリング用非接触脈波センシングなどを体感した。非接触脈波センシングは、設置したカメラで運転者の顔を撮影し、血流中の赤血球変動を確認することで、脈拍数やストレスの有無など運転者の健康状態が非接触かつリアルタイムで分かるという。赤外線カメラを用いれば、夜間などの暗部でも顔を確認することができる。
同社は、関連の運送会社が運用する車両に、開発したドライバーモニタリングシステムを導入して、データを収集中だという。システム検証に加えて、収集したデータを「ビッグデータ」として解析し、安全で快適な運転環境などを実現するために活用する予定である。
この他、ガラスくもり止めセンサーやCO2センサーなど、搭載したデバイス技術を個別に展示した。これらの技術を組み合わせることで、快適で効率的な車内空調環境を実現できるという。結果として、運転者の集中力を持続させ、EVの燃費改善につながる空調制御が可能となる。
独自開発のガラスくもり止めセンサーは、中赤外線波長帯域を検知するセンサーとワイヤグリッド偏光フィルムを組み合わせた。これによって、ガラスの反射波を除去することができ、常に正確なガラス温度を測定することが可能となる。車内の温度と湿度を併せて測定すれば、ガラスのくもりを防止するとともに、乾燥しすぎることもなくなるという。
CO2センサーシステムは、出力が従来の1.5倍という赤外線LEDと、高感度で高速応答のNDIR(非分散型赤外線)方式CO2センサー、LEDドライバー内蔵の小型センサーフロントエンドICなどで構成する。同社が長年蓄積してきた化合物半導体技術を用いることで、これらの特性を実現した。
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