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ADAS設計のハードへの移行が自動運転の未来を変える大規模化するソフト開発(2/2 ページ)

» 2018年02月07日 09時30分 公開
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スーパーコンピューティング vs 安全性

 自動運転分野における安全要件とスーパーコンピューティング要件は極めて複雑であり、一見したところ両立し得ないようにも思えます。これらは要求されている準リアルタイム性を実現する上での障害にもなります。したがって、機能安全メカニズムがソフトウェアのみで実装されるとパフォーマンスが犠牲になることが予想されます。幸い、ADASの進化が、機能安全メカニズムをハードウェアで実装し、システムレベルでのISO 26262準拠を実現する上での手本を見せてくれています。

画像はイメージです。

 ISO 26262規格によってより高度な自動運転用SoCの開発が進んでいます。最先端の組み込み意思決定支援システムの大半は、複数のヘテロジニアスなハードウェアアクセラレータをつなぎ合わせたニューラルネットワークを実装し、より効率的なビジョンプロセッシング、センサーフュージョン、自動運転機能を実現しています。これこそが1台の車に搭載されるスーパーコンピュータの複雑さです。

 その上、ディープマシンラーニング、ニューラルネットワーク、リアルタイム組み込みプロセッシングの帯域幅を個々のSoC内で統合するとなれば、複雑さは増す一方です。開発者たちがこれら全てのエレメントをつなぐオンチップ通信インフラを向上させなければどれほど大変なことになるか、想像してみてください。

 自動運転アルゴリズムの開発は、投資家たちにとっては理解しやすいことであるため、今の自動運転革命の初期段階においてはメディアの注目を集めるでしょう。しかしながら、これらのアルゴリズムをより効率的に実行するために最適化されたカスタムハードウェアを考案しなくてはならないのは電子システムの開発者たちです。今日のADASの開発から学んだ教訓が、キャッシュコヒーレントなSoCアーキテクチャがディープマシンラーニングと複数のヘテロジニアスなプロセッシングエレメントをサポートしているという自動運転の未来を創るのかもしれません。

筆者紹介

Kurt Shuler/Arteris IP マーケティング部門バイスプレジデント

 ISO 26262/TC22/SC3/WG16作業グループの米国技術諮問グループのメンバーであり、半導体および半導体IPの安全規格策定に携わる。Intel、Texas Instruments、その他スタートアップ企業4社でのキャリアを通じ、自動車、モバイル、コンシューマー、エンタープライズ部門の半導体IP、半導体、ソフトウェアのマーケティング分野において20年以上の経験を持つ。テクノロジー業界に入る前は、米空軍特殊作戦部隊の航空団員として空を飛んでいた。


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