EETJ 一連の投資で、ネクスティの事業はどのように変わっていくのでしょうか。
青木氏 今回の投資で、よりまとまった“固まり”、“ソリューション”を顧客と提供できるようになった。顧客が欲しいと思うIPや技術が豊田通商・ネクスティグループ内で、ほぼ賄えるようになった。実際、ソフトウェアに関する知見が蓄積され、顧客への提案内容がより濃いものになり、顧客側から相談を持ち掛けられることも増え、自信を深めている。
EETJ ソフトウェア開発力と、半導体販売などのハードウェアビジネスとの相乗効果も期待できますね。
青木氏 ソフトウェアとハードウェアでは、それぞれニーズが異なる。ソフトウェアが受注できてもハードウェアが売れるわけではなく、ハードが売れてもソフト開発を受託できるとも限らない。そういった面でも、ソフトウェア事業としてしっかり収益をあげていくことを目指す。
ただ、自動車市場以外の顧客や、海外の車載機器メーカーの中には、より完成品に近いものを提供して欲しいというニーズが広がりつつある。半導体などのハードウェア商材とソフトウェア開発力、さらには機構設計やモノづくりに関する技術力を高め、ODM(設計製造受託)サービスを提供していきたいと考えている。当然、ODMを提供するには品質保証も重要になる。現在、100人体制の品質担当人員数を、2018年度に160人規模に増やす。特に海外での品質サポート体制を強化する予定だ。
EETJ 現状のソフトウェア事業の規模は、どのぐらいになりましたか。将来的な目標は?
青木氏 現状のソフトウェア事業の売り上げ規模は、数百億円といったところ。ソフトウェアは、ハードウェア事業に比べ売り上げ規模はどうしても小さく見えるが、収益率は高く、利益面での貢献に期待している。
ソフトウェアエンジニア数については、合併時の600人ほどから、共同出資会社や出資先のリソースを含めれば1500人体制に拡大した。とはいえ、まだまだ不足感は残っている上、今後もソフトウェア開発ニーズが高まる見込み。ネクスティ本体や共同出資会社で人材を育成増員していく他、さらなるパートナーとの連携も行って、2020年度には2500人規模にまで引き上げたい。
EETJ 自動運転やIoT(モノのインターネット)では、組み込みソフトウェアだけでなく、サーバ、クラウド技術などIT分野の技術も必要になります。
青木氏 サーバなどIT向けについては、豊田通商の別部門が担当している。最近では、デンソーとともにD-Wave Systems社の量子コンピュータを用いたコネクテッドサービスに関する実証実験を開始したり、準天頂衛星「みちびき」活用した高精度ルートガイダンスシステムの実証事業を行ったりしている。豊田通商と連携し、より総合的なソリューションを提供していく予定だ。
ネクスティとしては、エレクトロニクス商社としての本業の部分を、愚直に、骨太に取り組んでいく。
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