Cambou氏は、「商用の自動運転車市場は間違いなく、大方の業界予想よりもはるかに早く誕生するだろう」と述べている。Yole Développementは、「現時点の情報から判断すると、2018年中に8000〜1万台の高性能自動運転車がテスト用ではなく商用利用が可能になる」と予想している。
Cambou氏は、「自動運転車と、ADAS(先進運転支援システム)機能を備えた自動車(以下、ADAS車)をはっきりと区別することが重要だ。この2つは同じではなく、混同すべきではない。ADASの機能を備えたTeslaやVolvoは、Waymoの自動運転車とは全く異なるものだ」と述べた上で、上記8000〜1万台という台数には、ADAS車は含まれていないことを強調した。
同氏は、「例えば、自動運転車には、ADAS車の10倍高額なカメラが搭載されている。IMUのライダーとジャイロセンサーについても同じことがいえる。自動運転車は、超高性能な工業グレードのセンサーを搭載している」と説明している。
では、なぜWaymoやUber、Lyftのような配車サービス企業は、GMやFordのような自動車メーカーと同じように、自動運転車の商用サービスを急いで始めようとしているのだろうか。Cambou氏は、「その理由は“先発者の優位性”にある」としている。
同氏は、「B2B(Business to Business)市場では、新しい技術やインフラに投資して最初に市場参入した企業が最大の利益を得ることができる。その一例が、世界の多くの都市で急速に普及しているバイクシェアリングサービスだ。どの都市でも、最初に参入した企業が一人勝ちを収めている」と説明している。
自動運転車を構成する各機器のコストに基づいて算出すると、1台当たりのコストはどのくらいになるのだろうか。
Waymoは以前に、「当社の自動運転車(ハイブリッドミニバン「Chrysler Pacifica」)1台には、Waymoが独自開発したライダー(長距離ライダー1台と中距離ライダー1台、短距離ライダー4台)、レーダー4台、カメラ8台、IMUが1〜3台搭載されている」と発表している。
一方、Uberは、1台の自動運転車に米Velodyne LiDAR製の長距離ライダー1台と、レーダー4台、カメラ7台、IMU3台を搭載しているという。
これらの自動運転車にはその他にも、毎秒数兆回の処理能力を備えた演算ユニットなどさまざまな機器が搭載されている。
Cambou氏は、「これら全ての機器のコストを考えると、2018年に登場する自動運転車の価格は平均約20万米ドルになる」と見積もっている。Yole Développementは、「2022年には年間6万5000台の自動運転車が生産される」と予想している。
【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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