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自動運転技術の新たな競争を仕掛けたNVIDIA「DRIVE PX Pegasus」の発表で(1/2 ページ)

NVIDIAが、自動運転車向けの最新SoC「DRIVE PX Pegasus」を発表した。1秒当たり320兆回の演算をこなす同チップの登場で、自動運転向けの演算性能をめぐる新たな競争が始まるかもしれない。

» 2017年10月16日 11時30分 公開
[Junko YoshidaEE Times]

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1秒当たり320兆回の演算をこなす

 NVIDIAは、2017年10月10〜12日までドイツ・ミュンヘンで開催した「GPU Technology Conference 2017(GTC Europe 2017)」で、Drive PXシリーズの新製品(コード名:Pegasus)を発表した。これにより、自動運転車向けの演算性能をめぐる競争は、新たなレベルに引き上げられたといえる。

 NVIDIAのCEO(最高経営責任者)であるJensen Huang氏は、Pegasusが毎秒320兆回の演算をこなす点を強調しながら、「当社の新しいAI(人工知能)コンピュータ『DRIVE PX Pegasus』は、クルマのナンバープレートほどの大きさでありながら、現在開発されているレベル5の自動運転車(完全な自動運転車)のプロトタイプに使われている全てのコンピュータを置き換えられるほどの性能を持つ。DRIVE PX Pegasusは100基のサーバを持つデータセンターに匹敵する演算性能を実現する」と述べた。

ミュンヘンのカンファレンスに登壇したJensen Huang氏 出典:NVIDIA(クリックで拡大)

 NVIDIAのPegasusには、同社の次世代SoC(System on Chip)「Xavier(エグゼビア)」2基と、ディスクリートGPU2基を搭載している。

 Pegasusの演算能力だけでは、レベル5の自動運転車がいまだに抱える課題の全てを解決することはできない。だが、NVIDIAはPegasusの開発によって、競合先を大きく引き離したといえるだろう。

 IHS Markitの自動車エレクトロニクスおよび半導体部門で首席アナリストを務めるLuca De Ambroggi氏は、「処理能力は非常に重要なポイントだ。Pegasusの登場により、レベル5の自動運転車の最低要件だと考えられているPOPS(Peta Operations Per Second)の達成に近づくことができた」と述べた。

 De Ambroggi氏の見解では、Pegasusプラットフォームが、“ロボタクシー”、つまりジオフェンス(仮想の地理的境界線)を備えたレベル5の自動運転車を実現する可能性は十分にあるが、大量市場向けの自動運転車を実現するには至らないという。同氏は、「性能が十分に高まるまでには、ICの世代交代(Xavier 3、4、5のように)があと何度か必要になるだろう」と述べた。

 Linley GroupのシニアアナリストであるMike Demler氏は、NVIDIAが、サンプル出荷開始の1年以上前にチップを発表していることを指摘した。一方でDemler氏は、NVIDIAがよりオープンなソフトウェアプラットフォームとGPUコンピュータアーキテクチャを組み合わせたことにより、深層学習への取り組みにおいて良い位置につくことができたと評価した。

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