東芝は、「第20回 組込みシステム開発技術展(ESEC 2017)」において、自動運転時代の対話するコックピットを想定した自動車IoT(モノのインターネット)ソリューションのデモ展示を行った。コミュニケーションを想定したAI(人工知能)技術である「RECAIUS(リカイアス)」を使っている。
東芝は、「第20回 組込みシステム開発技術展(ESEC 2017)」(2017年5月10〜12日、東京ビッグサイト)において、自動運転時代の対話するコックピットを想定した自動車IoT(モノのインターネット)ソリューションのデモ展示を行った。
ブースには未来の自動車を想定した対話型コックピットシステムを展示。担当者が音声で行きたい場所などを告げると、自然な音声で対話を行い、目的地を決めることができる。さらに、ナビゲーションシステムなどと連動すれば、自動運転で目的地まで案内してくれることも可能になるという。
ブースでデモ展示した対話型コックピットシステムは、人の気持ちや行動を理解して、目的の情報収集を支援するコミュニケーションAI「RECAIUS(リカイアス)」と、移動体通信ゲートウェイ「Next CGW(Communication/Central Gate Way)」の技術をベースに構成している。「いずれの技術も個別には既に実用化されている。今回はこれらを組み合わせて、次世代のコックピットシステムに適用した」(説明員)と話す。
デモでは、運転者や同乗者を想定した説明員が、あいさつの言葉などで車載システムに話しかけて対話を始める。その後、「川崎駅周辺のレストラン」など、行先や目的を告げる。そうすると、音声から人の発話や行動の意図や状況などを理解する。さらに、コックピットに装着されたカメラで撮影した映像から、搭乗している人数や人の属性などを把握して、条件に近いレストランを検索し、その結果を自然な音声で知らせてくれる。そのレストランが条件に合致していることを音声で伝えると、システム側でレストランの予約を行うこともできるという。さらに自動運転に対応した車両であれば、ナビゲーションシステムと連動して、目的地まで自動的に案内してもらうことも可能となる。
このシステムに用いたRECAIUSは、クラウドベースのAIサービスで、音声認識や音声合成、音声翻訳、音声対話、知識処理、音声認識などのサービスが用意されている。この中には、音声合成ミドルウェアのようにエッジデバイスに組み込むソフトウェアも含まれている。「音声合成ミドルウェアは、発話のパラメーターを組み合わせることにより、発音のスピードや太さなどを変えて、感情を表現することもできる」という。テキストの読み上げを行う場合も、楽しさやうれしさ、悲しさなどを自然に伝えることが可能となる。
もう1つの技術はセキュアな通信環境を実現するためのNext CGWである。ブースでは次世代コックピットで収集した音声、映像情報をIoTクラウド側に伝送し、処理済のデータや関連するサービス情報をフィードバックするために用いた。例えば、緊急性の高いデータ通信は3G(第3世代移動通信)やLTE、大量のデータ伝送はWi-Fiを利用するなど、車両の通信状況やデータの種類によって通信経路を自動で切り替えることができるという。
Next CGWは、車外サービスクラウドとの通信経路を制御する機能、車載機器やセンサーデバイスとの通信制御を行う機能、通信データのフィルタリング機能、リアルタイムアクション機能、データバッファリング機能、セキュリティ機能などが搭載されている。
今回のデモは、コックピットの音声および映像情報の通信に限定したが、車両の走行情報やバッテリー情報、車外のセンシング情報といったデータについてもセキュアな通信が可能である。
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