スペインで開催された「MWC 2018」では、セルラーネットワークを利用するIoT(モノのインターネット)向けのLPWA(Low Power Wide Area)ネットワーク技術の展示が相次いだ。
スペイン・バルセロナで2月26日〜3月1日に開催されたモバイル関連イベント「Mobile World Congress(MWC) 2018」では、IoT(モノのインターネット)向けセルラー規格「NB(Narrow Band)-IoT」の新しいチップやソフトウェア、サービスなどが紹介され、同技術の大きな進展が見られた。NB-IoTは今後数年間で、「LTE Cat-M1」やさまざまな非セルラー通信、LoRaアライアンス率いる長距離ネットワークと肩を並べるほどの成長を遂げ、セルラーIoTネットワークで大きなシェアを獲得すると予想される。
フランスのSequans Communicationsは、Qualcommに先駆けて、NB-IoTに最適化した同社初のチップを発表した。カナダの新興企業であるRiot Microは、ソフトウェア開発企業と共同で、NB-IoTとLTE M1のデュアルモードネットワークを披露した。米国のQorvoは、あらゆる低電力広域ネットワークに対応した低帯域RFチップのポートフォリオを紹介した。
米国の市場調査会社であるABI Researchは、「LPWAN(省電力広域ネットワーク)は、2025年にかけて世界で最も急速な成長が見込まれる接続技術であり、同年には40億個のIoTデバイスをサポートしていると予想される」と述べている。一方Qorvoは、2017年に低帯域製品市場で20%の成長を遂げている。
China MobileはMWC 2018で、HuaweiやMediaTek、Qualcomm、RDA、ZTEの5社のチップセットを使用して、346都市にNB-IoTネットワークを導入したと発表した。TechInsightsのアナリストによる同イベントのレポートによると、China Mobileは、これらのチップを使用した、同社のネットワークで使用可能な15種類のNB-IoTモジュールを用意しているという。
タッチスクリーンコントローラーや指紋センサーで知られる中国の半導体企業であるGoodixは、ドイツのCommSolidを買収して獲得したIP(Intellectual Property)を使用して、NB-IoTチップを販売することを明らかにした。TechInsightsによると、GoodixはバルセロナのVodafoneネットワークで、同技術のライブデモを行ったという。
また、Cisco Systemsは、China Unicomと協力して、NB-IoT管理システム「Cisco Jasper Control Center」のテストを実施しているという。同システムは、農業やビルオートメーション、スマートメーター、駐車場、火災管理、街灯照明といった幅広いアプリケーションの自動制御化を支援する。
China UnicomのIoTグループでゼネラルマネジャーを務めるXiaotian Chen氏は、Cisco Systemsのプレス発表で、「2020年までに、当社のネットワークに1億以上のNB-IoT接続を導入する計画だ」と語った。
また、別の中国大手通信事業者であるChina Telecomも、2017年に開催された「Mobile World Congress Americas」で、NB-IoTの積極的に展開していることを明らかにしている。中国の通信事業者3社は競って、政府指導のセルラーIoTの展開を進めている。
Sequans Communicationsは、3GPPの「Release 14」と「Release 15」に準拠する「LTE Cat NB1」と「LTE Cat NB1」に最適化したシングルチップ「Monarch N」を既に発表している。同社によれば、Monarch Nは、産業用センサーやスマートメーターなどをターゲットにしているという。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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