米国で、半導体産業の強化を進める中国に対する警戒が強まっている。米国が懸念しているのは、中国の半導体強化政策そのものではなく、その“進め方”だ。
米トランプ政権は、中国の不当な通商政策に対抗するための一連の措置の概要を明らかにした。その一環として、同政権は最大600億米ドル相当の中国製品に対する関税を課すことを目指す大統領覚書に署名した。
トランプ大統領は2018年3月22日(現地時間)、中国の技術関連政策および慣行に対する7カ月に及ぶ調査結果とともに、一連の措置の詳細を明らかにした。それらの措置には、中国による米国の技術企業への投資を制限することと、技術ライセンスにおける中国の慣行(海外企業が中国に合弁会社を設立する際、現地の企業にライセンスの供与が求められること)について世界貿易機関(WTO)に提訴することが含まれている。中国は、こうした米国の動きに対してほぼ即座に反応し、豚肉、ワイン、果物、鉄などの米国製品に対する関税を提案した。
半導体メーカーは長い間、知的所有権保護に関する中国の政策や姿勢が緩いと訴えてきたが、米国と中国の全面的な貿易係争については、その影響がなお不透明であるため、依然として慎重な姿勢を示している。
米国の半導体メーカーで構成される業界団体SIA(半導体工業会)は2018年3月22日、「犠牲の大きい貿易摩擦を避ける形で、米国の知的所有権を保護できるという結果」を支持するという声明を発表した。
SIAのプレジデント兼CEO(最高経営責任者)であるJohn Neuffer氏は、SIAが現在、トランプ政権による調査結果と提案された措置をレビュー中であると述べた。同氏は「米国の半導体業界は、トランプ政権と同様、中国の不当かつ差別的な貿易慣行に対して懸念している。米国の知的所有権は、そのような慣行によって中国でリスクにさらされている」と述べた。
トランプ政権は、25%の関税を課すことになる中国製品のリストを発表する予定だ。同政権によると、そうした製品には航空宇宙、IT、通信関連の機器や機械が含まれるという。
米国通商代表部が関税対象製品のリストを発表した後、30日間の公示期間があり、関税はその後に施行される。施行までに長い時間がかかることから、関税案はロビイストや選ばれた代表によって最終的に効力が弱められてしまうのではという臆測を呼んでいる。
トランプ大統領が、現在、米国政府は中国と交渉中であると述べたことから、2018年3月22日に概要が明らかになった関税やその他の措置は、交渉戦略の一環ではないかという見方もある。
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