AI(人工知能)を利用した予兆検知ソリューション市場は、2017年の約55億円に対し、2021年には338億円規模に拡大する見通しだ。深層学習など機械学習の進展により予測精度が向上するなど、新たな段階を迎えている。
ミック経済研究所は2018年4月、予兆検知ソリューション市場について、その実態と将来展望をまとめた。このレポートによれば、AI(人工知能)を利用した予兆検知ソリューション市場は、AI技術やIoT(モノのインターネット)技術の発展により、2017年の約55億円に対し、2021年には338億円規模に拡大すると予測した。
システムの異常を振動や音で事前に検知する予兆検知への取り組みは、製造業などでこれまでも行われてきた。その作業は熟練技術者の経験によるノウハウや勘に頼るところが大きかった。2016年以降はAIを利用した予兆検知が注目を集めている。工場内に設置した大量のセンサー端末から得られる膨大な情報を、AIによって解析する動きである。
同レポートによれば、「製造業では、AIを利用した予兆検知に対する関心が高い。しかし、これは管理者側のニーズであって、工場の現場レベルのニーズであるかどうかが問題」という。一方で、熟練技術者の人手不足、後継問題は深刻であり、今後はAI活用が本格化するとみている。深層学習など機械学習の進展による予測精度の向上なども、市場拡大を後押しする。
AIを利用した予兆検知ソリューション市場は、大半が概念実証(POC:Proof of Concept)の段階だという。このため、市場規模も2017年は55億円規模とまだ小さい。2018年には実稼働が増えるが、本格的な実稼働への移行時期は2019年と想定している。この結果、市場規模は2020年に約231億円、2021年は約339億円に達すると予想した。
なお、AIを利用した予兆検知ソリューションの主な用途は、「設備系故障検知」と「不良品検知」の比率が極めて高く、市場の伸び率も他に比べて大きいという。これら合計の市場規模は、2017年に41億円となり全体の74%を占めた。2021年は284億円となり、その構成比は84%と予測する。
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