Smart City Zoneの展示では、通信機能を備えた街灯(スマートポール)の展示が目立った。公的な研究機関であるThe Hong Kong Applied Science and Technology Research Institute(ASTRI)は、基地局やデジタルサイネージ、カメラを搭載したスマートポールを出展。カメラが撮影したデータをLTEでクラウドに送信できる。ASTRIによれば、いずれは、5G(第5世代移動通信)にも対応する予定だという。
例えば交通事故が起きた際、カメラの画像とGPSの位置情報を組み合わせ、事故発生地点や事故の規模などを特定し、それらの情報を、スマートポールから周辺(1〜2kmの範囲内)の自動車に送信するような使い方を想定している。ASTRIは、香港新界地区沙田にある香港サイエンスパークで、スマートポールの実証実験を行っているさなかだ。
ASTRIは、スマートポールの実用化について具体的な時期は明らかにはしなかった。
APAS R&D Centerは、LoRa対応のスマートポールを展示した。LoRa対応のトランスミッターとセンサーを搭載していて、温湿度や大気中の汚染物質などをモニタリングできる。モニタリングしたデータは、LoRaを介して一番近いレシーバーに送信される。レシーバー1台で最大200台のスマートポールからデータを受信できるという。その他、リモートで街灯(LED)のオン、オフもできる。現在、香港に200台の同スマートポールを設置し、実証実験を進めている。
Microsoftのブースでは、MicrosoftとAutomatic Engineering、Tick Tack Technology(T3)が、同様にLoRa対応のスマートポールと、そこで収集したデータをモニタリング、解析するシステムを展示した。Microsoftはクラウドと、データ分析システムを、Automatic Engineeringはスマートポールを制御、管理するソフトウェアなどのプラットフォームを、Tick Tack Technologyがスマートポールを提供している。
このスマートポールもセンサーを搭載していて、温湿度の他、スマートポールの角度を測定するセンサーも内蔵している。スマートポールが倒れていないかどうかをモニタリングするためだ。Automatic Engineeringでマーケティングマネジャーを務めるMandy Chan氏は、「香港には22万台に上る街灯がある。街灯には個別の番号が振られていて、その番号を使って1台あるいは複数台を同時に制御できる」と述べる。
スマートポール以外では、King City Technologyが24GHz帯のミリ波レーダーを使って人数をモニタリングするシステムなどを展示した。King Cityは、同レーダーを、HKSTP(香港サイエンス&テクノロジーパーク)内の建物の照明に搭載し、HKSTPに出入りしている人数をリアルタイムでカウントしている様子をデモで見せた。King City Technologyの共同設立者兼CEO(最高経営責任者)であるGary Wong氏によれば、同社のシステムは、人数のカウントだけでなく、ジェスチャ検知にも応用できるという。「駅や商業施設のデジタルサイネージにレーダーを搭載すれば、手を左右に動かすと画面を遷移できる、といったシステムを実現できる」(同氏)
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