GMOインターネットは2018年6月5日、東京都内で記者会見を開催し、7nmプロセスを用いて独自開発したマイニング専用ASICを搭載するマイニングマシン「GMO miner B2」を紹介した。
インターネットインフラ・仮想通貨などの事業を営むGMOインターネットは、仮想通貨のマイニング専用ASIC「GMO 72b」を独自で開発した。同チップは、7nmプロセスを採用し、ハッシュパワーや電力効率に優れていることが特長だ。同社では、7nmプロセスを採用したマイニングASICの量産は「世界で初めて」としている。
同社は2018年6月5日、東京都内で記者会見を開催し、GMO 72bや同チップを搭載するマイニングマシン「GMO miner B2」を紹介。同社社長の熊谷正寿氏は、現在のブロックチェーン・仮想通貨について次のように問題提起し、ASICの自社開発に踏み切った。
「インターネットに等しい重要技術であるブロックチェーンを支えているハードウェアは、中国Bitmainが開発するマシンでそのほとんどを独占しており、非中央集権を目指す仮想通貨の理念と異なる流れにある。また、モノづくり日本の企業が、1社も(ブロックチェーンを支える)技術・マシンを市場に投入できていないことも問題だ」
GMO 72bは、SHA-256のハッシュ関数に対応し、ビットコインとビットコインキャッシュのマイニングを実行できる。SHA-256を採用する他の仮想通貨については「対応できるかもしれないが検証していない」(熊谷氏)。なお、ASIC単体の構造や諸性能、製造を請け負うファウンドリーの詳細については、開示していない。
GMO 72bの開発には「日本の半導体設計のノウハウと英知を結集した」(熊谷氏)とし、同社内に半導体設計技術チームを擁することで、テープアウトまで社内で完結したことを強調する。このプロジェクトに対する投資額は、「100億円に近い数十億円規模」(熊谷氏)。7nmプロセスルールでマスク作製コストが高騰していることや、ファウンドリーの7nm製造キャパシティーが逼迫(ひっぱく)しているため、製造ラインの確保に熊谷氏自らが尽力していることを明かした。
また、同社はマイニング用途ASICの開発事業を長期に継続する方向性を示し、熊谷氏は「当面は7nmプロセスで製造を行うが、5nmや3.5nmプロセスへのチャレンジもしていきたい」と語った。SHA-256以外のハッシュアルゴリズムに対応するASIC開発については、今後検討するとしている。
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