電気自動車のレースである「フォーミュラE」。2018年からフォーミュラEのタイトルスポンサーを務めるスイスABBは2018年6月に、同社の本拠地であるチューリッヒでのレースに合わせて自社イベントを開催した。
「電力を生成するところから、電力を必要としているあらゆる所までカバーする」――。ABBが、スイス・チューリッヒで2018年6月10日(現地時間)に開催した「ABB Technology Forum 2018」の冒頭で、同社CEO(最高経営責任者)のUlrich Spiesshofer氏はこのように強調した。
1988年、ASEAとBrown Boveri & Cie(BBC)という2つの企業が合併して誕生したABBは、2018年に創立30周年を迎えた。2017年には348億米ドルの売上高を達成している。中核となる事業は「パワーグリッド」「インダストリアル・オートメーション」「エレクトリフィケーション・プロダクツ」「ロボティクス&モーション」で、これら4つの売上高の比率はほぼ同等だ。
Spiesshofer氏がABB Technology Forum 2018においてキーワードとして取り上げたのは、エレクトリフィケーション・プロダクツ(以下、電動化)とインダストリアル・オートメーションである。Spiesshofer氏は、「1890年代にチューリッヒでトラム(路面電車)が走り始めたころから、当社(前身の時代も含む)は電動化、とりわけeモビリティ(エレクトロモビリティ)に注力してきた」と語る。
その取り組みを示す一環として、ABBは2018年から、電気自動車(EV)のフォーミュラカーでレースを行う「Formula E(フォーミュラE)」のタイトルスポンサーとなった*)。鉄道や発電所などインフラ設備向けのパワーエレクトロニクスや、船の電動化技術、電気自動車(EV)や電動バス、ハイブリッドバス向けの急速充電システムを手掛けるABBにとって、Formula Eは相性がいいと考えたからだ。Spiesshofer氏は、「なぜABBがタイトルスポンサーになったのか、とよく聞かれるが、その答えは極めてシンプルだ。フォーミュラEのレースは、電動化そのものだからだ」と強調した。「われわれが手掛ける技術は、電力を生成するところから、電力を必要としているあらゆる所までをカバーする。ABBは、eモビリティのインフラを構築する上で理想的なパートナーであることを示したい」(同氏)
*)そのため、2018年のFormula Eは「ABB Formula E」が正式名称となっている。
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