試作した埋め込みMRAMのMTJには、SRAM代替用MTJ「スタックA(Stack-A)」と、フラッシュメモリ代替用MTJ「スタックB(Stack-B)」がある。読み出しアクセス時間を、スタックAの埋め込みMRAMで測定した。シュムープロット(条件を変化させて動作が正常か不良かをプロットしたマップ)で読み出し特性を説明しよう。
最初は温度条件を変化させた読み出し動作のシュムープロットである。125℃の高温条件、25℃の室温条件、-40℃の低温条件の3通りのプロットを示した。温度補償回路はオフにし、2ビットの誤り訂正回路(ECC回路)をオンにした。プロットの縦軸は読み出し電圧(単位は任意)、横軸はアクセス時間(ナノ秒)である。
基本的な傾向としては、アクセス時間が短くなると、正常に読み出せる電圧範囲(電圧マージン)が狭くなる。そして室温と低温に比べると、高温で電圧マージンがより狭くなる。ただし設計仕様であるアクセス時間が20ナノ秒〜25ナノ秒の範囲では、いずれの温度条件でも、一定範囲の電圧マージンが確保できている。
続いてはスタックAの埋め込みMRAMに対する書き込み動作で、温度条件を変化させたシュムープロットを示そう。125℃の高温条件と−40℃の低温条件の2通りのプロットを示した。これも2ビットの誤り訂正回路(ECC回路)をオンにしている。
書き込み動作では読み出し動作とは逆に、低温側で電圧マージンが狭くなる。それでも書き込みアクセス時間が25ナノ秒から13.9ナノ秒の範囲で、一定の電圧マージンを確保できた。
後編では、長期信頼性をチェックした結果をご報告する予定である。
(後編に続く)
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