2xnm世代のCMOSロジック製造技術によって記憶容量が40Mビット(5Mバイト)の埋め込みMRAMマクロを試作した結果を報告する後編である。ここでは、長期信頼性(書き換えサイクル数とデータ保持期間)とはんだ付け耐熱性に関する試験結果を紹介する。
今回は前後編の後編である。前編を覚えておられない方や未読の方は、一度、前編を読まれてから、本編をお読みすることを強くおすすめする。
後編では、2xnm世代のCMOSロジック製造技術によって40Mビット(5Mバイト)の埋め込みMRAMマクロを試作した結果から、長期信頼性(書き換えサイクル数とデータ保持期間)とはんだ付け耐熱性に関する試験結果をご紹介する。
前編で述べたように、試作した埋め込みMRAMのMTJ(磁気トンネル接合)には、SRAM代替用MTJ「スタックA(Stack-A)」と、フラッシュメモリ代替用MTJ「スタックB(Stack-B)」がある。
書き換えサイクル数は、SRAM代替用MTJ「スタックA(Stack-A)」のセルアレイ(1Kビット)で測定した。温度条件は25℃、105℃、125℃と変化させている。25℃と105℃の温度条件では、100万回の書き換えサイクルを経た後に十分な読み出しマージンを確保できた。ただし温度が上昇すると、読み出しマージン(トンネル磁気抵抗比)そのものは低下している。また125℃の温度条件では、100万回の書き換えサイクルを経ても不良は増加しなかった。
次はデータ保持期間である。こちらはフラッシュメモリ代替用MTJ「スタックB(Stack-B)」のセルアレイで測定した。設計目標は、1Mビットのセルアレイに対して温度が125℃の条件で、10年間のデータ保存期間をへたときに「1ppm以下の不良率」である。
240℃〜260℃の高温条件下による加速試験の結果、磁気トンネル接合(MTJ)が平行(P)から反平行(AP)に移行した場合と、反平行(AP)から平行(P)に移行した場合の両方とも、設計仕様を満足することができた。
ただしデータが反平行(AP)状態で保存された場合と、平行(P)状態で保存された場合では、データ保持特性に違いが生じた。この非対称性を緩和することが、今度の課題として残ることとなった。
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