東芝と東北大学東北メディカル・メガバンク機構は、高速量子暗号通信技術を用い、既設の光ファイバー回線で1カ月平均10Mビット/秒の鍵配信速度を実証した。
東芝と東北大学東北メディカル・メガバンク機構は2018年8月、高速量子暗号通信技術を用い、既設の光ファイバー回線で1カ月平均10Mビット/秒の鍵配信速度を実証したと発表した。また、無線センサーネットワークを活用して、通信時の外部環境と量子暗号通信の性能を測定、その関係性についても明らかにした。
高速量子暗号通信技術は、東芝と東芝欧州研究所傘下のケンブリッジ研究所が開発した。光子1個に1ビットのデータを載せて送受信し、盗聴があると光子の状態が変化する。このため容易に盗聴検知ができる技術だという。
東芝と東北大学東北メディカル・メガバンク機構は今回、この量子暗号通信技術を組み込み、ゲノム解析データを暗号化して伝送する通信システムを開発し、フィールド実証実験を行った。開発したシステムには、配信された暗号鍵を管理する仕組みや、連携して動作するデータ暗号処理ソフトウェアなどが組み込まれている。
実証実験では、東芝ライフサイエンス解析センターと東北大学東北メディカル・メガバンク機構に量子暗号装置を設置し、この間の通信は敷設済みの光ファイバー専用回線を利用した。両拠点とも仙台市青葉区にあり、この間は約7km離れている。1カ月を上回る連続動作の実証実験を行った結果、量子暗号鍵の配信速度は平均10.2Mビット/秒を達成したという。
また、敷設された光ファイバー回線に無線センサーネットワークを導入した。温度変化や降雨、積雪、強風、地震といった外部環境の変化が光ファイバー特性に与える影響を測定。その上で量子暗号通信性能との関係性について明らかにした。
東芝は引き続き、医療や金融、通信インフラなどの用途で、量子暗号技術の運用実証に取り組む。東北大学東北メディカル・メガバンク機構も、ゲノム情報に基づいた未来型医療の実現に向けて、ICTを積極的に活用する予定だ。
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