東芝デバイス&ストレージは、長距離通信と低消費電力を両立させたBLE(Bluetooth low energy)Ver.5.0規格に準拠したSoC(System on Chip)を開発した。
東芝デバイス&ストレージは2018年6月、BLE(Bluetooth low energy)Ver.5.0規格に準拠したSoC(System on Chip)を開発したと発表した。長距離通信と低消費電力を両立させた。
開発したBLE SoCは、内蔵する電力増幅器に関して2つの新技術を採用した。1つは不要波の抑制能力を高める技術である。フィードバック制御を行う回路に、プリセット機能を追加した。これにより、補正中でも不要波を抑制し、最終的な出力からフィードバック制御することが可能となった。
従来は電力増幅器の駆動部分でフィードバック制御し不要波を抑制していた。この方法だと、出力部分で発生した不要波を補正できなかった。また、最終的な出力を調整しようとすれば、補正が完了するまで過渡的な不要波が発生するため、同回路をSoCに組み込むことが難しかったという。
もう1つは、出力部の電力効率を改善させる技術である。電力増幅器の出力部にある2個のスイッチトランジスタを別々に制御する構造とした。これにより、貫通電流を防ぎ、電力消費を抑制することに成功した。従来は2個のスイッチトランジスタが同時にオン状態になる瞬間があり、その時に流れる貫通電流が消費電流を増やす要因になっていたという。
2つの新技術を組み合わせたことで、不要波と消費電力を抑制し、送信出力を増加させることが可能となった。開発したSoCは、リンクバジェット(送信電力と受信感度の差)が113dBで、送信電力効率は22%となった。これにより、通信距離を600mまで延ばすなど従来製品の約4.6倍を実現した。同等の通信距離を可能とする一般的な製品に比べると、消費電力は70%程度で実行可能だという。
同社は、開発したBLE SoCについて2018年1月よりサンプル出荷を始めている。同年9月より量産出荷を行う予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.