田中貴金属工業は、スマートフォンなどに用いるフレキシブルなタッチパネルや有機ELディスプレイを実現するための「低温焼結−ナノ銀印刷技術」と「銀メタル全面フィルム形成技術」を開発した。
田中貴金属工業は2018年8月、スマートフォンなどに用いるフレキシブルなタッチパネルや有機ELディスプレイを実現するための「低温焼結−ナノ銀印刷技術」と「銀メタル全面フィルム形成技術」を開発したと発表した。
これまでの銀ナノインクは、焼結を行うのに150℃以上の高温が必要だった。このため、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなど有機材料へ印刷するのは極めて難しかった。今回開発した低温焼結−ナノ銀印刷技術を用いると、70℃の低温で銀ナノインクの焼結を行うことができる。しかも、抵抗値は50μΩcm以下で、高温焼結時と同等の特性を実現できたという。
銀ナノ配線回路を70℃の低温で焼結形成できるため、高画質の有機ELディスプレイを安定して生産することが可能となる。形成するパターンは、銀ナノ粒子を数層〜数十層積み重ねた構造で、折り曲げ特性(フレキシブル性)にも優れている。
銀ナノインクとSuPR-NaP(スーパーナップ)法によるメタルメッシュ配線技術を用いると、4μm以下の微細配線をフィルム上に形成できるという。
低温焼結銀ナノインクを用いた、エッチング対応可能な銀メタル全面フィルム形成技術も開発した。ITO(酸化インジウムスズ)による透明電極と同等かそれ以上の光透過率や面抵抗値を実現した。折り曲げ特性にも優れている。配線を形成する工程では、既設のエッチングプロセスを活用することができる。
田中貴金属、燃料電池用電極触媒の生産能力を7倍に
銅インクで実現、ラジオ機能付き野球帽
伸縮性導体、5倍に伸ばしても高い導電率を実現
銅やニッケルの電極への銀粒子焼結接合が可能に
印刷で薄くて柔らかいモーターを実現
薄型で伸縮自在、スキンディスプレイを開発Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング