3Gおよび4G LTE通信は、高いデータレートでより多くのデータを転送するように設計されている。このようなコンテンツの配信に使用されるオーバーヘッドの大きさは、ビデオストリーミングから音声通話やWebサイトといった巨大なペイロード自体の大きさに比べれば豆粒のようなものだ。
だが、LPWAアプリケーションではこの計算法が変わってくる。LPWAでは、ペイロードがキロバイト単位になることがしばしばで、3Gおよび4Gのメッセージのオーバーヘッドより小さい場合もある。LPWAデバイスの主な電力消費要因はデータ転送なので、バッテリー寿命を延ばすには効率的な通信プロトコルがカギとなる。
MQTT(TCP上)とCoAP(UDP上)
LPWAアプリケーションでは、2つのアプリケーション層プロトコルが主流になりつつある。TCP/IPプロトコルを使用する「MQTT(Message Queuing Telemetry Transport)」と、UDP/IPプロトコルを使用する「CoAP(Constrained Application Protocol)」だ。
次に説明するように、アプリケーション層プロトコルの選択は主にトランスポート層プロトコルの選択によって決定される。
伝送制御プロトコル(TCP)は、レシーバーへの接続が正常に確立されること、データが確実に転送されて正しい順序で再構築されること、エラーがキャッチされて修正されること、接続が適切にシャット・ダウンされることを確認することで、ある程度の制御を提供する。このような信頼性の向上は多くのアプリケーションの前提条件となるが、クライアントとサーバ間で交換されるデータ量が(UDPと比較して)多くなり、結果として消費電力も多くなるというデメリットがある。
一方のユーザー・データグラム・プロトコル(UDP)は、コネクションレスかつステートレスだ。つまり、データパケットは単純にレシーバーに転送され、それに先立つ接続の確立や、データが正常に受信されたかどうかの確認はない。全てのパケットが送信される保証はなく、失われたパケットを回復する方法も、重複を検出する方法もない。その代わり、UDPはデータのオーバーヘッドを最小限に抑えることで、データ転送と消費電力を削減している。
非IPデータ通信
3GPPのリリース13では、IoTの開発およびIoTアプリケーションの多くで使用される低データボリュームの開発を支援するため、CIoT EPS 最適化の一部として、ユーザーデバイスとアプリケーションサーバ間でデータを転送する新しい方法が導入された。
そのうちの1つは、インターネット・プロトコル(IP)の代わりにセキュア・サーバのAPI(Application Programming Interface)を使用して、制御プレーン経由で少量のデータを直接転送できる非IPデータ通信(NIDD)である。データはシグナリング無線ベアラで直接送信されるので、データ無線ベアラのセットアップが不要になり、オーバーヘッドが削減される。そのため、この手法は小さなデータ・パケットを低頻度で送信する典型的なNB-IoTアプリケーションに最適となっている。
最終的に、通信プロトコルの選定は、MNOと協議の上、ケースバイケースで行う必要がある。主な選定基準は次の通りだ。
長期的に成功を収めるLPWANソリューションを開発するには、最適な通信プロトコルと電力要件の選択によって、信頼性とセキュリティのニーズの変化に対応できる能力および柔軟性が必要だ。
技術の進化は今なお急速に進行中であり、適した技術と事業者をいつでも選択することができれば、最適なコストで高いパフォーマンスを確保できる。
シームレスなローミングを実現するグローバル認定ソリューションは、資産追跡システム、現在の世界で“地球市民”として移動するデバイスなどのアプリケーションに特に適している。LWM2Mプロトコルを介したリモートデバイス管理は、デバイスとサーバ間の効率的な無線通信を提供し、幅広い用途を実現するとともに、セキュリティやファームウェアの重要アップデートを可能にする。また、最近の3GPPセルラーIoT最適化を利用することにより、バッテリー寿命を維持しながらこれら全てを実現することができる。
こうした製品を選んで使うことが、長期にわたる使用に耐えて成功を勝ち取れるソリューションとなるだろう。
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