Qualcommの日本法人クアルコムジャパンは、Bluetoothオーディオ用として新たに開発したコーデック「aptX Adaptive」について、記者説明会を行った。
Qualcommの日本法人であるクアルコムジャパンは2018年10月3日、Bluetoothオーディオ用として新たに開発したコーデック「aptX Adaptive」について、東京都内で記者説明会を行った。
Qualcommは、Bluetoothオーディオ用コーデックとして、クラッシックと呼ぶ標準的な「aptX」や、高音質音源に対応する「aptX HD」、そして遅延を抑えた「aptX Low Latency(aptX LL)」を提供している。Qualcommでプロダクトマーケティングのディレクターを務めるJonny McClintock氏は、「aptXはこれまで、40億台の機器に搭載されてきた」と話す。aptX Adaptiveは、これらの実績をベースに開発した技術で、aptX LLの後継と位置付ける。aptXやaptX HDとは下位互換となる。
aptX Adaptiveは、利用中の通信環境やコンテンツに応じて、転送ビットレートを変更し、安定した接続と高音質を確保できるようにした。同時に低遅延も実現している。しかも、これらの機能はコーデック側で最適化を行うため、ユーザーは利用環境を全く気にせずに済み、設定を変更するための操作なども必要ないという。
例えば、安定した接続性を実現するために、無線環境を監視している。利用者が多い電車内など接続性が厳しい環境であれば、ビットレートをCD品質の280kビット/秒まで下げる。逆に、通信環境が良い場合にはビットレートをハイレゾ品質の480kビット/秒まで上げる。さらに、オーディオファイルのヘッダ情報から最適なダイナミックレンジなどを読み取り、コンテンツに最適な再生をコーデック自体が行う。
コーデック自体の遅延時間は2ミリ秒である。システムレベルの遅延時間は50〜80ミリ秒という。McClintock氏は、「カジュアルゲーム用途では50〜80ミリ秒の遅延時間が適切なレベルだと思う。動画はリップシンクを考えると60ミリ秒以下が必要」と話す。
aptX Adaptiveを開発した経緯についてMcClintock氏は、「最近のスマホはオーディオ用のイヤフォンジャックが実装されていない。このためワイヤレス接続が必要となる」ことを挙げた。さらに、「ケーブルで接続するイヤフォンのようにユーザーが特別に意識しなくても使えること」「ハイレゾ品質のコンテンツに対する要求が高まっていること」「1台で音楽やゲームを楽しむなど、スマホがマルチメディア機器になっていること」といったニーズに対応したという。
既に、Bluetooth 5.0オーディオ受信チップ「CSRA68100」と「QCC5100」シリーズでは、aptX Adaptiveに対応しており、「これらを搭載した機器が2019年半ばにも商品化される予定」という。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.