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Qualcomm、5G対応SnapdragonにSamsungの7nm EUVを適用これまでの協業関係を維持

Qualcommは2018年2月、同社の5G(第5世代移動通信)チップセット「Snapdragon」に、Samsung ElectronicsのEUV(極端紫外線)リソグラフィを導入した7nm LPP(Low Power Plus)プロセス技術を適用することを発表した。

» 2018年02月27日 11時30分 公開
[Dylan McGrathEE Times]

2018年後半に

 Qualcommは、同社の5G(第5世代移動通信)チップセット「Snapdragon」に、Samsung ElectronicsのEUV(極端紫外線)リソグラフィを導入した7nm LPP(Low Power Plus)プロセス技術を適用することを発表し、QualcommのファウンドリサプライヤーであるSamsungとの長年にわたる協業関係を、今後も維持していく考えであることを明示した。

 Samsungは、これまで開発が遅れに遅れてきたEUVを、2018年後半に7nm LPPプロセス技術で導入することにより、先導的な役割を担っていきたい考えだ。IntelやTSMC、GLOBALFOUNDRIESなどの他の最先端チップメーカーは、EUVによる製造を2019年中に開始する予定だとしている。

 Qualcommは、「5G対応Snapdragonは、EUVリソグラフィを導入した7nmのLPPプロセスの適用により、チップのフットプリントを縮小することが可能になるため、OEM各社は、電池容量の拡大や製品の薄型化を実現できるようになる。Snapdragonチップが採用するプロセス技術/設計は、電池寿命の大幅な延長を実現することが可能だ」と主張する。

 またSamsungは、「7nm LPPプロセスは、10nm FinFETプロセス技術と比べて、面積効率を最大40%向上できる他、10%の性能向上と、最大35%の低消費電力化を実現することができる」と述べている。

 Samsungは、これまで10年間以上にわたり、Qualcommの半導体チップ製造を手掛けてきた。Qualcommが、Samsungの7nm LPPプロセス技術を、5G対応Snapdragonに適用すると発表したことについては、これまで全く予想されていなかったわけではない。2017年末に日本経済新聞は「Qualcommは、モデムチップの製造を一部、Samsungからそのライバル企業であるTSMCに切り替えるのではないか」と報じていたが、今回の発表によって、QualcommとSamsungがこれまで通り、強力な協業関係を維持していく考えであることが明示されることになった。

お墨付きを得た

 また今回の発表により、EUV技術は、これまで数十年間にわたる開発期間を経て、ようやく、半導体チップの製造に適用することができるというお墨付きを得たことになる。

 Samsungのファウンドリセールス&マーケティングチーム担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるCharlie Bae氏は、報道向け発表資料の中で、「今回の協業によって、Samsungの最先端プロセス技術の信頼性が示され、当社のファウンドリー事業にとっては重要なマイルストーンとなった」と述べる。

 Samsungは、「当社のEUV導入7nm LPPプロセス技術は、10nm FinFETプロセス技術と比べて、プロセスの複雑性を低減し、歩留まりの向上も実現する」と主張している。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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