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時計作りで培った技術をIoTに、エイブリック新検知方式のホールICなども展示(1/3 ページ)

エイブリックは2018年10月16〜19日に開催されている展示会「CEATEC JAPAN 2018」で、新たな検知方式を採用した「ZCL(Zero Crossing Latch)ホールIC」をはじめ、時計の開発で培ってきた技術を生かしたデモを展示した。

» 2018年10月17日 13時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

「第3の検知方式」を用いたホールIC

 エイブリックは2018年10月16〜19日に開催されている展示会「CEATEC JAPAN 2018」(シーテックジャパン/会場:千葉市・幕張メッセ)で、ブラシレスDC(BLDC)モーター向けに、新たな検知方式を採用した「ZCL(Zero Crossing Latch)ホールIC」などを展示した。

 従来、ホールICの磁界を検知する方式としては、N極かS極のどちらかを検知する「片極検知」や、N極とS極を交互に検知する「交番検知」が用いられてきた。だが、例えば交番検知方式では、S極とN極が切り替わるポイントを通過したときに信号を検知できないといった課題もあった。

 ZCLホールICは、エイブリックが「第3の検知方式」と呼ぶ、新しい検知方式を用いている。S極とN極が切り替わるポイントである0mT(ミリテスラ)に到達した時点を検知して信号を出力できる方式だ。従来の検知方式に比べ、温度や磁石との距離による影響を受けにくく、性能が安定するという。それによって、モーター制御のずれを低減できることになる。

「ZCL(Zero Crossing Latch)ホールIC」の検出方式(クリックで拡大)
交番検知方式のホールICと、ZCLホールICを、磁石に近づけたり離したりして、波形の安定性を比較するデモ。一番下の緑の波形が、交番検知方式のホールICだが、波形が左右に動いている。それに比べ、ZLCホールICの波形(ピンク色)は安定しているのが分かる

 また、ホールICの実装位置を、従来ほど細かく気にする必要がないため、効率のよいモーターをより簡単に設計、製造できることも大きな利点だという。

 さらに、厚みが0.8mm、0.5mmと薄型のパッケージも用意した。既存のパッケージの厚みは1.2mmなので、だいぶ薄くなっている。CEATECでは、パッケージに実際に触れることができ、厚みの違いを実感できた。エイブリックによると、0.8mm品と0.5mm品のいずれも、車載でも使用できるという。さらに現在、小型ロボットなどにも搭載できるよう、厚さ0.2mmのパッケージも開発中だ。

厚みが0.8mm、0.5mmのパッケージを用意した。0.2mmも開発中だ(クリックで拡大)

 ZCLホールICは、既存のホールICに比べれば、ややコストは高くなる。ただし、性能の安定性や小型のパッケージなど、「ZCLホールICがもたらす価値はそれに見合ったものになるのではないか」とエイブリックは述べる。

 エイブリックの説明担当者は、「世界で消費されている電力の約半分をモーターの消費電力が占めるというデータもあり、モーターの開発者は、いかに高効率で小型のモーターを開発するかに尽力している。エイブリックのZCLホールICが、最適解の一つになれば」と続けた。

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