200V/20MHzのリニアアンプICも展示した。主なターゲット分野は医療超音波診断装置だ。このリニアアンプICの最大の特長は、矩形(くけい)波やサイン波などさまざまな波形を出力できる点だ。それによって、より鮮明な画像を得られるようになるという。
さらに、多チャンネルを1パッケージ化したことで、装置の小型化と低コスト化を図ることができる。具体的には、これまで1チャンネルで基板サイズが15×15cmだったものが、エイブリックの200V/20MHzリニアアンプICでは4チャンネルで10×10cmの基板サイズで済むという。

左=200V/20MHzリニアアンプICを搭載した基板。黄色の矢印で示したパッケージが、エイブリックのIC。2チャンネル品と4チャンネル品があり、写真の基板に搭載されているのは2チャンネル品である。基板サイズは10×10cm/右=このように、矩形波もサイン波も出力できる(クリックで拡大)今後は、医療超音波診断装置だけでなく、ソナーや魚群探知機、非破壊検査装置などもターゲットとする。ただし、これらについては200Vではなく、400Vもの高電圧が必要になるケースもあるので、エイブリックは現在、400V/20MHzのリニアアンプICを開発中だ。
エイブリックが現在注力している分野の一つがIoT(モノのインターネット)だ。エイブリックの説明員は「IoTデバイスの開発で求められる要件は、時計の開発で培った小型化、低消費電力化技術との親和性が高い」と述べる。CEATECでは、東芝デバイス&ストレージと提携して開発した、Bluetooth 5対応の無線SoC(System on Chip)モジュールを展示している。エイブリックのスイッチングレギュレーターIC「S-85S0A」がレファレンスとして搭載されているものだ。同ICを採用することで、LDOレギュレーターを使用していた従来品に比べ、送信時の消費電流を44%低減できたという。
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