KIBITはこれまで、金融、運輸、官公庁、メーカーなどで導入されていて、国内外の導入実績は既に100社を超えている。FRONTEOの社長を務める守本正宏氏は説明会で、「KIBITの実効性を試すフェーズから、業務への本格導入フェーズに入ったと考えている。KIBITの導入運用を加速するために開発したのが、KIBIT G2である」と述べた。
KIBIT G2では、「Smart」「Scalability」「Speed」という3つの「S」をキーワードに展開する。「Smart」では、ユーザーからの要望を受け、GUI(Graphical User Interface)をよりシンプルにし、使い勝手を向上した。「Scalability」では、KIBITをAPI(Application Programming Interface)として提供するサービス「KIBIT Connect」を開始。より広範な分野でのAI実装を目的としたもので、KIBITを顧客や他社のシステムに統合したり、FRONTEOが顧客のシステムを受託開発したりすることが容易になる。「Speed」では、並列処理技術などを活用し、顧客の要望に応じたレスポンススピードでのサービス提供が可能になる。
KIBIT G2のエンジン上で動作するアプリケーションとしては、特許調査システム「Patent Explorer 19(ワンナイン)」など複数を順次リリースしていく。Patent Explorer 19は、トヨタグループの知的財産および計測制御領域の専門企業であるトヨタテクニカルディベロップメント(TTDC)と共同で開発したもの。
FRONTEOは、KIBITの活用を、製造業や医療、介護、農業、教育など、さまざまな分野に拡大していく。医療や介護で活用するAIというと、画像診断やセンサーデータの解析をイメージするが、KIBITが解析するのは、日報やメール、医者と患者、医療従事者との間で交わされる会話(をテキストに変換したもの)などだ。守本氏は、「医療などの分野では、診断用の画像データだけでなく、言葉も重要だといわれている。日報や会話から拾った『ここが痛い』『最近、こういう不調がある』などの言葉から、バイタルデータだけでは推測できないような疾患が見つかることもあると聞く。KIBITでは、“人間の言葉や感覚”がセンサーデータの代わりになる」と語った。
製造業などでも、例えば新製品に対するユーザーコメントの解析や、ベテラン技術者の“暗黙知”を含めた技能継承といった活用方法が考えられる。
守本氏は、「記録に埋もれたリスクやチャンスを見逃さず、人によるばらつきをなくし、客における不公正、不利益をなくす。それがFRONTEOの理念だ。KIBIT G2のリリースによって、その目的に向かって大きく前進したと考えている」と強調した。
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