以前とは異なり、スマートフォンはもはや電子製品販売の主要な原動力ではない。2019年にスマートフォン分野が好転すると予測するのは時期尚早だといえる。
市場調査会社のInternational Data Corporation(IDC)は2018年12月、スマートフォンの出荷台数が2019年に持ち直し、1桁台前半の成長率に戻ると予測した。成長率は2018年に約3%にまで低下している。IDCは、「新興市場」「5G」「新たな製品フォームファクター」が、スマートフォン市場を復活させると述べた。
だが、英国・ロンドンに拠点を置くArete Researchでシニアアナリストを務めるBrett Simpson氏によると、中国のスマートフォン市場では、5GはAppleに追い風をもたらしそうにないという。
Simpson氏はEE Timesに対し、「Appleが中国のスマートフォン市場に5G対応iPhoneを投入するのは2020年後半以降になる。そのため、今後12〜18カ月間で、同市場におけるAppleの立場はさらに弱まるだろう。中国政府は、2019年末もしくは2020年初めに5G関連の補助金を交付し始める計画なので、中国市場についてはAppleに不利な形にシフトしているとみられる」と語った。
Feibus氏は「アップグレードに関連した、より根深い問題もある。スマートフォンサプライヤーが頼りにしてきた買い替えサイクルは崩壊しつつある。消費者は、既に所有しているスマートフォンに満足しており、その度合いは(スマートフォンサプライヤーにとって)非常に危険と言えるレベルになっている」と述べた。
2018年12月、中国の裁判所はQualcommの訴えを認め、一部のApple製品の販売を差し止める判断を下した。このことは、中国でのiPhoneの売上高に影響しているのだろうか。
Simpson氏は「中国でのiPhone販売差し止めは完全に実施されてはいない。中国では他にも判決が下された訴訟がいくつかあり、事態を複雑化させている。起こり得る結果として、近いうちにApple/Qualcomm間で和解が成立するのではないかと考えている」と述べた。
Sinolink SecuritiesのアナリストであるLu氏は、スマートフォン市場の本格的な回復は、5GとAI(人工知能)が搭載され始める2020年以降になると見込んでいる。2019年後半には在庫の再構築が始まるため、季節的な回復がみられるという。
【翻訳:青山麻由子、田中留美、編集:EE Times Japan】
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