Qualcommは、5Gチップの供給に関しては、HuaweiやIntel、MediaTek、Samsung Electronicsなどのライバル企業よりも12〜24カ月先行しているとされる。2019年に出荷される5G携帯端末には、Qualcommの半導体チップが搭載される予定だ。また、同社は既に、約50社との間で5Gの特許ライセンス契約を締結しているという。
判決が下るのは、早くても来週(2019年2月4日の週)になるとみられる。
Koh判事は2019年1月25日に、証言が行われる少し前に、弁護士に対して、「迅速に判決を下したいと考えているが、確認しなければならない証拠が大量に存在する上、法律も非常に複雑であるため、通常通りのスピードは期待できないだろう」と述べている。
こうした大量の証拠の一例としては、独占禁止法関連のトップクラスの専門家たちによる報告書や、数十社の機器メーカーおよび半導体メーカーの経営幹部たちからの長時間に及ぶ供述、数々の契約書、セルラー規格一式、関係者全員の間で送受信された大量の電子メールなどが挙げられる。
Qualcommについて証言する独占禁止法関連の専門家は、Koh判事に対し、「正味販売価格が下落する中、速いペースで性能向上を実現した製品を出荷している業界に対し、干渉すべきではない」と警告している。
経済学部教授であり、かつて米司法省の反トラスト局でチーフエコノミストを務めた経歴を持つAviv Nevo氏は、「半導体業界は現在、好調を期していることから、さまざまな指標によって横揺れし、混乱に陥るという損失を被る可能性がある。いかなる干渉も、本質的な損失をもたらすことになるだろう」と述べている。
FTC弁護士は、「Nevo氏は、さまざまな携帯端末メーカーの供述に耳を貸そうとしない」と指摘する。メーカー各社は、Qualcommのロイヤリティーが、携帯電話機の正味販売価格の最大5%とされ、他のどのセルラー特許保有企業のロイヤリティー料率も優に上回っているということや、Qualcomm製チップに代わる製品が不足していることなどについて、何度も不満を示してきた。
Qualcommの共同創設者であるIrwin Jacobs氏は、「Qualcommは、CDMAによるデジタルセルラー通信の開発をサポートし、音声からデータおよびマルチメディアへの移行を後押しした」と証言している。長年にわたり同社のチーフテクノロジストを務めてきたJames Thompson氏は、「当社のビジネスモデルをあれこれ操作すると、売上高全体の20%以上をセルラー研究開発に再度投入しようとしている動きが、阻止される可能性がある」と主張している。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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