三菱電機は2019年2月7日、センサーに対する悪意のある攻撃を検知する「センサー攻撃検知アルゴリズム」を開発したと発表した。同社は同アルゴリズムをセンサーフュージョンアルゴリズム内に実装し、「世界で初めて、悪意のある攻撃で発生する計測データの矛盾から攻撃を検知するセンサーセキュリティ技術を開発した」(三菱電機)としている。
三菱電機は2019年2月7日、センサーに対する悪意のある攻撃を検知する「センサー攻撃検知アルゴリズム」を開発したと発表した。同社は同アルゴリズムをセンサーフュージョンアルゴリズム内に実装し、「世界で初めて、悪意のある攻撃で発生する計測データの矛盾から攻撃を検知するセンサーセキュリティ技術を開発した」(三菱電機)としている。
三菱電機によると、異常信号を照射するなどの悪意のある攻撃をセンサーが受けた場合に、有効な対策方法が確立されていなかったとする。攻撃対策としては、複数のセンサーを組み合わせて計測データを取得するセンサーフュージョンアルゴリズムを応用することが有力視されてきた。ただ、「アルゴリズムの複雑さと評価環境を構築することの困難さから、攻撃に強いか否か、どのような環境で攻撃されやすいのかが示されていなかった」(三菱電機)という。
今回、三菱電機では、センサーフュージョンアルゴリズム内の計算処理に着目し、ドローンの自動制御に用いられるジャイロ、加速度、コンパスに関する各センサー間の計測データの矛盾(不整合)から、悪意のある攻撃を割り出す「センサー攻撃検知アルゴリズム」を開発。センサーフュージョンアルゴリズム内に実装した。
さらに三菱電機は、コンパス、ジャイロ、加速度など個々の狙ったセンサーに異常信号を当てる、または、狙った複数のセンサーに同時に異常信号を当てることが可能な高度な評価環境を構築して、自然現象で発生する計測データと攻撃によって発生する矛盾に明確な差異があることを確認した。
開発したセンサーフュージョンアルゴリズムをドローンに適用したところ、超音波による攻撃を、正常時との比較で42%*)以上の不整合を攻撃として検知できたという。
*)センサーフュージョンアルゴリズム内の中間値を使って地磁気や重力の計算などを行い自然現象の数値と一致した場合を不整合0%と定義
センサー攻撃検知アルゴリズムは、センサーフュージョンアルゴリズムの計算過程を利用して検知するため、プログラムの計算量や精度に悪影響を与えずに処理できるという特長を持つ。また、既存のセンサーの性能や構成を変更する必要はなく、センサー内部の信号処理回路の一部として実装できるため、車載機器、生産設備、ドローンなどの機器に対して、部品の追加や改造などが不要なため、安価に導入できる利点もある。
三菱電機では、2020年度以降の事業化を目指し、研究開発を継続していくという。なお、今回の開発成果の一部は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の結果から得られたものである。
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