今回、8チャンネルのLoRaWAN屋内ゲートウェイを69米ドルで提供するという重大な発表が行われた。まずは米国とEUを皮切りに、後に日本とインド、オーストラリアでも利用できるようになるという。TTIは、LoRaWANの低価格化とアクセス性の向上、複雑性の低減、さらなる統合化などを実現すべく、幅広い使命を掲げており、今回の発表はその一環として行われた。
このゲートウェイは、購入後にすぐに利用できるよう、TTIがネットワーク/ゲートウェイ管理向けとして、SLAに準拠したネットワークに対する設定を完了させている。ゲートウェイの所有者は、Semtechが作成した新しいオープンソースゲートウェイプロトコルを介して、あらゆるネットワークに接続することができる。
また屋内ゲートウェイは、バックホールとして、無線LANでLoRaWANゲートウェイに完全に準拠するよう設定されている。差し込み口を備えるため、USB Type-Cを使って900mAまで給電することができる。最大+27dBmのデータ伝送を実現し、既にFCC(米国連邦通信委員会)とECの認証を取得しているという。
TTIは、デバイスに関しては、”Software Defined IoT(ソフトウェア定義のIoT)”のコンセプトをベースとした新しいLoRaWANジェネリックノードを発表している。このジェネリックノードは、複数のセンサーを備えるため、一つのサプライチェーンの中だけでユニットを1台使用して、膨大な数のユースケースをサポートすることが可能だ。小売店やスマートビルディング、スマートシティー、農業、スマートオフィスなどの用途向けかどうかに関係なく、ArmのMbed OSを使用して、簡単に実行可能なプロビジョニング処理を提供し、サポートできるという。ジェネリックノード上で動作するアプリケーションは、LoRaWANを介してリモートで提供される。またファームウェアは、現場で使用している状態でOTA(Over The Air)でアップデートできる。
ジェネリックノードの中核を成しているのが、Microchipの「SAM R34」「SAM R35」だ。LoRaWANの通信チップと、超低消費電力のマイコンを組み合わせたSiP(System in Package)である。このデバイスは、セキュアエレメント(SE)を備えるため、LoRa Allianceが策定した最新の仕様をサポートした、世界各国のあらゆる種類のLoRaWANネットワークに接続することが可能だ。後からアプリケーションをデバイス上にロードすることができるため、さまざまなユースケースで使用することができる。
セキュリティ脆弱性が存在すると、モジュールのメモリや、LoRaWANスタックと組み合わせたマイクロコントローラーなどの、ネットワークやアプリケーションサーバキーへのアクセスが可能な状態になる。LoRaWANデバイスのキーがアクセスを受けると、ハッカーのなりすましによる不正行為が承認されてしてしまう可能性がある。その結果、スケーラブルな攻撃により、サービス売上高や回収費用、ブランド資産価値などで膨大な損失が生じる恐れがある。
Microchipは、TTIとの協業により、LoRaエコスステム向けのハードウェアベースのセキュリティソリューションを発表した。マイコンにも無線にも依存しない「ATECC608A-MAHTN-T CryptoAuthentication」デバイスを、TTIが管理するジョインサーバと、Microchipのセキュアなプロビジョニングサービスと組み合わせたという。このため、LoRaWANデバイスに対して、信頼性が高く安全に管理された認証を、世界規模で行うことが可能だ。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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