図5は、当社で分解した多くのお掃除ロボットの内部構造をまとめた資料の一部である。サンプル数は決して多いとは言えないが、日本、米国、韓国、中国の代表的な製品を分析した結果から導いた、お掃除ロボットにおける半導体メーカー/IPベンダー別分布である。
スマートフォンでは多くのプロセッサがArmコアを用いている。スマートフォンにおけるArmコアの占有率はほぼ100%近い。
お掃除ロボットでのCPUコア種のシェアを記したのが図5中央である。7割強がArmコアを用いたマイコンを用いており、占有率は高い。
お掃除ロボットのような比較的新しいジャンル製品ではArmコアの搭載率が高い。モーター制御マイコンは多くのメーカーから販売されているものの、CPUコアでみれば、Armのシェアは高くなる。
図5左は、マイコンのメーカー別シェアである。おおよそ半分がST製だ。お掃除ロボットのマイコンは、“STの牙城”といってもよいスコアだ。日本メーカーのマイコン採用例もあるがメジャーとは言える状況にはない。
今後もさらにサンプル数を重ねて市場の動向やシステムの変化を観察していく予定である。
図5右はモータードライバのメーカー別シェアである。あえて、最も搭載数が多かった社名を伏せて「A社」とする。お掃除ロボットの過半数はこのA社のモータードライバが使われる。2位はTexas Instruments(TI)だ。ここも定番化されつつある。
今後さらにお掃除ロボット、あるいは類似製品が普及した場合、ST製マイコン+A社製ドライバが一層、定番化、プラットフォーム化、キット化される可能性は高い。
現在はまだはっきりと断言できる段階にはないかもしれない。しかしこうした組み合わせの上にソフトウェアやライブラリが構築されていくと、定型化が加速する。図5のように過半数を占める分布が現れると、さらに強者が発展していくのが常だ。今後もサンプル数を重ね、システム進化、センサー進化、処理能力の向上という点の観察とともにメーカー別占有率なども更新していく予定である。
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