車載ECUの世界市場は、2030年に14兆4679億円規模に達する――。富士キメラ総研が市場を調査し、需要予測を発表した。
富士キメラ総研は2019年5月、車載ECU(Electronic Control Unit)と関連デバイスの世界市場を調査し、需要予測を発表した。車載ECU市場は2018年見込みの8兆4160億円に対し、2030年は14兆4679億円規模に達すると予測した。
今回は、車載ECUを「パワートレイン系」や「HV(ハイブリッド車)/PHV(プラグインハイブリッド車)/EV(電気自動車)/FCV(燃料電池車)系」「走行安全系」「ボディー系」「情報通信系」「スマートセンサー/アクチュエーター」の6品目に分けた。さらに、関連デバイスも「センサー」や「マイコン」「電源IC」「回路部品」など26品目に分類して市場を調査し、分析を行った。
調査結果によると、車載ECU市場は2018年に8兆4160億円の規模を見込む。2017年実績に比べて4.1%の増加となる。これを用途別にみると、ボディー統合制御、エアコン、照合、ヘッドランプ、パワーマネジメントといったボディー系ECUの市場規模が大きいという。
今後は特に、自動運転などに向けた走行安全系および、情報通信系などの用途でECU市場は大きな伸びが期待できるという。2030年の市場規模は走行安全系ECUで3兆5834億円、情報通信系ECUは3兆76億円を見込む。この結果、2024年にはボディー系ECUの市場規模を上回ると予測した。
伸長率でみると、HV/PHV/EV/FCV系ECUの市場が急拡大する。2020年以降は中国やEU市場を中心に環境対応車の販売が拡大する見通しである。この結果、2030年にはHV/PHV/EV/FCV系ECU市場が1兆8198億円規模に達すると予測した。
自動車1台当たりのECU平均搭載数も調査した。2018年現在は全体で23.7個だが、2030年には33.3個に増えると予想した。その要因としてエンジンルームなどへの搭載数が増えると分析する。
ECUを構成するセンサーの市場規模も調査した。センサーの世界市場は2030年に1兆8787億円と予測する。市場規模が大きいのは温度センサーである。環境対応車の普及により需要が拡大する。今後はモーター部の温度監視などの用途で増加が見込めるという。
2030年に向けて大きな伸長率を期待できるのが、イメージセンサーや圧力センサーである。イメージセンサーは衝突安全防止機能の搭載義務化などが需要を押し上げる。2030年には2513億円の市場規模を見込む。圧力センサーは内燃機関の効率改善に重要な役割を果たす。また、タイヤ空気圧警報システムや衝突検知用途などでの需要増が期待されている。
この他、磁気センサーや角速度センサー、加速度センサーなども、電動化やより安全な運転の実現に向けて、需要の増加を見込む。
今回の調査は、同社専門調査員によりヒアリングやデータベースを活用し、2018年12月〜2019年2月に実施した。
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