今回完成したB2棟は4階建てで、クリーンルームの広さは約7200m2。約160台の全自動搬送装置が上下2段の構造で動いている。上段の搬送装置は工程間、下段は装置間でウエハーを運ぶ。上段の搬送装置は既存の製造棟である「E棟」ともつながっている。
新棟では、10nm台の第2世代となる「1Ynm」プロセスでの生産を開始。2019年末には、同第3世代である「1Znm」の生産も開始する計画だ。Bhatia氏によれば、1Zノードを適用した16GビットのLPDDR4の生産を2019年内にも開始するという。これについては現在、顧客企業による評価が進んでいるところだと同氏は述べる。2020年以降は、さらに微細化を進めた「1αnm」「1βnm」「1γnm」のプロセス開発も広島工場で開始する予定だという。
重要なのは、Micronの投資戦略が、ウエハー投入量(ウエハーキャパシティー)の増加を伴わないという点だ。Bhatia氏は「われわれの投資計画の基本は、全ての工場において最先端プロセスへの移行を進めていくことだ。ウエハーキャパシティーを増やすことは、Micronの目的ではない。投資はあくまでもプロセスの微細化が中核となる」と述べた。その上で、広島工場で現在建設中の「F棟」では、1Znm以降のプロセスの立ち上げや、メモリ技術の研究開発などを行うことを明かしたが、完成時期やクリーンルームの稼働開始時期については「まだ決定していない」(Bhatia氏)と述べた。
さらに、DRAMプロセスについてEUV(極端紫外線)リソグラフィを導入するかという質問については、「EUVは必要ないと考えている」(Bhatia氏)と答えた。「1Y、1Zの他、1α、1βでもEUVは必要ないと考えている。ただ、EUVリソグラフィ技術の評価は現在も行っているし、コスト効果と性能を考慮し、導入する意味があると判断したら、1β以降で導入する可能性はある」(同氏)。Mehrotra氏も「今後数年間は、導入する予定はない」とした。
2019年上半期はDRAM価格は大幅に下落したが、下半期にはその状況が改善していくと見込んでいる。コンピュータやサーバ市場でのプロセッサ不足も解消されていくと見ており、メモリ市況もそれに伴って年内には回復していると考えている」と語った。
中国はMicronにとって、巨大で重要な市場。重要な大手顧客も複数存在する。Mehrotra氏は「当社は今後も、これらの企業からのニーズに応えてDRAMもNAND型フラッシュメモリも提供していく」と強調した。
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