「Micronになって本当によかった。現在日本で働いている数多くのチームメンバーが、そう感じているのではないか」――。マイクロンメモリ ジャパン社長の木下氏は、記者説明会でこう強調した。
国内唯一のDRAMメーカーだった旧エルピーダメモリ(以下、エルピーダ)が会社更生法の適用を申請したのは2012年2月のことだ。その後、Micronが同年7月に、エルピーダの買収と支援を目的にスポンサー契約を締結し、2013年7月に買収が完了した。
木下氏は「あっという間の7年間だった」とこれまでを振り返り、「2009〜2012年のDRAM世界市場は、2兆円から3兆数千億円の間だった。だが、2018年は10兆円を越える規模になっている。Micronがエルピーダを買収した当時、DRAMの世界市場がこれほどまでの規模になっているとは誰も想像できなかっただろう。私ももちろん、想像できなかった。Micronの2018年度の売上高は304億米ドルだが、この数字からも分かる通り、素晴らしい投資の決断をした。これまでの7年間、日本のチームメンバーが『Micronになって必ず生き残る。必ず再建する』という強い決意の下、一丸となって努力してくれたことにも大変感謝している」と語った。
同氏は「AI(人工知能)をはじめとするデータエコノミーを支える解の一つがDRAMであり、NANDフラッシュだ。日本からできるだけ多くの価値を届けたい」と続けた。
Micronは人材育成にも力を入れる。木下氏によれば、Micronによるエルピーダの買収が完了して以来、広島工場では約800人を雇用したという。2019年度(2018年9月〜2019年8月)は、広島工場の事業拡大のため、400人のエンジニアや製造装置の管理点検などを行う技術者を採用した。さらに、今後の3年間で大学の新卒採用を行い、エンジニアリング職を約500人増員する計画だという。
木下氏は「Micronはユニークな多様性を持つ企業」だと述べる。マイクロンメモリ ジャパンでは2019年度の新卒として140人を採用。女性の割合は約30%。外国人の割合も約30%だという。「当社は日本一、女性が働きやすい職場を目指していく」(木下氏)
この他、2018年にはMicronが設立した財団(マイクロン財団)が、広島大学のナノデバイス・バイオ融合科学研究所、女性研究者支援プロジェクト、グローバルサイエンスキャンパス・プログラムに対する支援として、15万米ドルを寄付した。B2棟のオープニングセレモニーが行われた6月11日には、同大学に対して2度目となる15万米ドルの寄付を発表した。
MicronでグローバルHRビジネスパートナー バイスプレジデントを務める中西詩絵(なかにし・うたえ)氏は、日本における女性の活躍や女性エンジニアの育成について「日本では女性が活躍できる機会が表面に出ていない部分もあるのではないか」と述べる。
「Micronは、女性が入社した時に、自分の将来のキャリアが見えるような企業にしていきたいと考えている。日本は、米国などに比べると女性エンジニアがまだ少ない。そのため、どうすればマイクロンメモリ ジャパンで長いキャリアを築いていけるかを、女性の従業員を積極的に話し合っているさなかだ。実は、この記者説明会の直前まで、広島工場の女性従業員たちとちょうどそういった話をしていた。当社は、男女関係なく、自分の才能を引き出せる会社だということを分かっていただきたい」(中西氏)
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