Appleが、Intelの一部のモデムチップ事業を買収するための交渉を進めている、と2019年6月11日、技術ニュースサイトThe Informationが報道した。これを受けて、「Appleは、『iPhone』をはじめ、セルラー接続機能を搭載する自社製品向けのモデムデバイスを独自開発すべく、基盤を構築しようとしているのではないか」とする臆測が急激に飛び交うことになりそうだ。
AppleがIntelのモデムチップ事業の一部を買収するための交渉を進めている、と2019年6月11日、技術ニュースサイトThe Informationが報道した。これを受けて、「Appleは、『iPhone』をはじめ、セルラー接続機能を搭載する自社製品向けのモデムデバイスを独自開発すべく、基盤を構築しようとしているのではないか」とする臆測が急激に飛び交うことになりそうだ。
この報道によると、Appleは現在も、Intelがドイツに拠点を置くモデム事業の一部を買収するための交渉を進めているという。Intelは2011年に、Infineon Technologiesのモデム事業を14億米ドルで買収しており、その大部分をドイツ拠点に置いている。
Wall Street Journalは2019年4月に、「Appleは、Qualcommとの間で争っていた全ての訴訟を解決する方向で合意した後、Intelの5Gモデム事業を買収するための交渉を進めていた」と報じていた。しかし、続報によれば、この買収交渉は合意に至ることはなかったという。
後れを取っていたIntelの5G(第5世代移動通信)モデム開発において、Appleは唯一の顧客と考えられていた。そしてAppleとQualcommが和解するとすぐに、Intelは5Gモデム事業からの撤退を発表した。
しかし、The Informationの2019年6月11日付の報道によって、Appleが現在も、5Gモデム事業の特定の一部を買収する方向で話を進めていることが明らかになった。
Appleは、同社のアプリケーションプロセッサ「Aシリーズ」に統合型セルラーモデムを搭載することを検討していると考えられてきた。こうした動きは、携帯端末市場のライバル企業の大半が採用している、モデムを統合したプロセッサを搭載するという流れに合致しているといえる。
Appleと、長年にわたる同社のサプライヤーであるQualcommとの関係は、法外なロイヤリティーや不公正なビジネス慣行などに関する申し立てをめぐって、2年前から悪化し始めた。両社が2019年4月に合意した内容は、Qualcommの特許に対する6年間のライセンス料金や、2年間の延長オプションなど、これまで未公表とされていたAppleからQualcommへの支払い金額が含まれている。また、両社は同時に、数年間にわたる半導体チップの供給契約を締結したことも発表している。
Appleは2019年2月、AppleとQualcommとの間で訴訟が行われている真っ最中に、Qualcommが本社を置く米国カリフォルニア州サンディエゴで、セルラーモデム開発で実績を持つ設計エンジニアを積極的に採用していた。その当時、「Appleは、同社のAシリーズプロセッサに統合型セルラーモデムを追加するための取り組みの一環として、セルラー分野の設計者の採用を図っているのではないか」と広く考えられていた。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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