記者説明会で行ったデモでは、VP-8021Aに振動を加え(加振)、基準となる校正用の圧電式加速度センサーと振動周波数を比較する様子を紹介した。
ADXL1002と、IMVの雑音振動を抑制する技術。この2つによって、VP-8021Aは、軸受け異常を測定できる振動周波数までカバーしつつ、コストを抑えることに成功した。VP-8021Aの具体的な価格については明らかにしなかったが、川平氏は「量産すれば、適正価格まで下げられると考えている」と述べた。
IMVの狙いは、手軽に使える振動ピックアップを開発することで、振動データによる予知保全を促進し、パラメーターとしての振動の有効性を認識してもらうことだ。
「われわれが最も懸念しているのは、“振動データは使えない”と思われてしまうことだ。温度センサーや圧力センサーと同じくらい気軽に使える振動ピックアップを提供することで、振動が、温度や圧力と同列に並べるくらいのパラメーターになっていくと考えている」(川平氏)
さらに、VP-8021AをPLCに接続して使用してもらうことも鍵になるという。IMV執行役員 MES事業本部長を務める西原弘之氏は、「三菱電機やオムロン、キーエンスなどのPLCにVP-8021Aを採用してもらえれば、振動データを使った予知保全の市場が一気に拡大するのではないか」と述べた。
また、IMVは、同社の既存の振動ピックアップで収集したデータをクラウドに送信するサービスにも注力しており、いずれはVP-8021Aもそうしたクラウドサービスに対応する予定だ。川平氏によれば、将来的には、VP-8021Aなどの振動ピックアップで収集した振動データを使ったビジネスも視野に入れているという。
IMVの社長を務める小嶋淳平氏は、「VP-2081Aは、IoT(モノのインターネット)時代に先立つ新しい振動ピックアップだ。これによって、振動を測るビジネスを大きく発展されていきたい」と語った。
VP-8021Aは、2019年夏に限定顧客を対象に評価用サンプルを出荷し、量産は同年9月を予定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.