Intelの日本法人であるインテルは2019年8月26日、都内で記者説明会を開催し、IntelのFPGAアクセラレーションカード「Intel FPGA PAC(Programmable Acceleration Card) D5005(以下、D5005)」が、HPE(Hewlett Packard Enterprise)のサーバに搭載可能になったと発表した。
Intelの日本法人であるインテルは2019年8月26日、都内で記者説明会を開催し、IntelのFPGAアクセラレーションカード「Intel FPGA PAC(Programmable Acceleration Card) D5005(以下、D5005)」が、HPE(Hewlett Packard Enterprise)のサーバに搭載可能になったと発表した。
D5005は、IntelのFPGA「Stratix 10 SX」を搭載したもの。「Intel FPGA PAC」としては、FPGA「Arria 10 GX」を搭載した既存製品があるが、それに比べてロジック数が3倍、メモリ容量が4倍(D5005は32GBのDDR4メモリを搭載)となり、100GbE(ギガビットイーサネット)のポートを2つ搭載している。
D5005自体は2018年9月に発表されているが(発表当時の製品名はD5005ではなかった)、市場投入は今回のHPEサーバが初めてとなる。D5005を搭載するHPEのサーバは「HPE ProLiant DL380 Gen10サーバー」。D5005を3枚まで搭載できるようになっている。
日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部でカテゴリーマネジャーを務める高橋健氏は記者説明会で、HPEがサーバにFPGAを採用する理由として「FPGAが得意とするワークロードであれば、CPUよりも高い性能を出せること。FPGAのソフトウェアをアップグレードすれば性能もアップグレードできるので、長く使用できる、つまりトータルコストの最適化を図れること。1つのFPGAで複数のワークロードに合わせて使用できるので費用対効果が高いこと」の3つを挙げ、「アクセラレーターに関する売上高予測の調査でも、FPGAでは高い成長が見込まれている。FPGA自体の性能に期待している」と述べた。
D5005で新たにサポートするワークロードには、音声のテキスト化やビデオトランスコード、金融向けリスク管理/規制管理などが含まれる。D5005用に開発されたワークロードとしては、Myrtle.aiの音声テキスト化AI、Algo-Logicのネットワークセキュリティ、CTAccelの画像トランスコード、アイベックス テクノロジーのビデオトランスコードがある。
インテル プログラマブル・ソリューションズ営業本部で事業開発マネジャーを務める山崎大輔氏は、Myrtle.aiの音声テキスト化についてD5005とNVIDIAのGPU「V100」を比較した結果を紹介。スループットを最適化したシナリオではD5005がより低消費電力に、レイテンシを最適化したシナリオではD5005が、より低遅延かつ、より高い実効スループットを実現したと説明した。
説明会にはアイベックス テクノロジー 事業戦略室の馬場隆行氏も登壇。動画配信システムにおけるトランスコーダーでは、ソフトウェアとCPUが使われているが、コストと消費電力が課題になってきていると語る。その上で、エンコーディングのアルゴリズムが複雑になればなるほど、スループットにおいてFPGAが有利になると説明した。
馬場氏は、4Kの動画をCPUのみでトランスコードした場合と、FPGAにオフロードした場合を比較するデモも披露。CPUのみではスムーズに再生されなかったが、FPGAにオフロードした場合は何の問題もなく再生された。また、CPUの使用率も、前者は100%のフル稼働となったが、後者は約半分にまで低減できていた。
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