豊橋技術科学大学の田村昌也准教授らは、電力と通信を同時に伝える水中無線伝送システムについての開発結果を展示した。「水中では難しい」といわれていた電界結合方式によるワイヤレス電力伝送を実現している点が、最大の特長だ。伝送距離20mmにおいて、1kWを90%の効率で伝送することに成功したと、田村氏は述べる。さらに、カメラで撮影した映像を水中を介して100Mビット/秒で送信するデモも披露していた。
水中の配管や橋梁のヘルスモニタリングの他、海底資源探索や断層調査向けの水中ドローン、無人潜水艇のワイヤレス給電に応用できる可能性がある。「これまで水中のワイヤレス給電で一般的に使われる磁界方式では、シールドやガイド(フェライト)が必要になり、重装備になる。しかも、位置ずれにも弱いという課題があった」(田村氏)
熊本大学 大学院先端科学研究部 情報・エネルギー部門教授の飯田全広氏らは、再構成可能(リコンフィギュラブル)なAIプラットフォーム「Re2NA」のデモを展示した。日進月歩のDNN(ディープニューラルネットワーク)アプリケーションを即座にハードウェア化することを狙った技術で、PE(Processing Element)のメモリを書き換えることで、さまざまなDNNに対応できるようになる。プロトタイプとして展示したものは、畳み込み層、プーリング、活性化関数といった複数のDNNに対応しているという。
同技術は、エッジでの推論をターゲットとしたもので、エッジコンピューティングに必要な要素である電力効率と柔軟性の両立を目指すもの。バッテリー機器にも搭載できるような電力効率を目指すとしている。演算性能のベンチマークとしては、2.0TOPS/W以上を目指しているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.