2019年8月29〜30日に開催された「イノベーションジャパン 2019」(東京ビッグサイト)では、多数の大学、研究機関、ベンチャー企業が出展し、500を超える研究成果を展示した。両日とも会場は多くの来場者でにぎわっていた。今回は、そのうちの一部を紹介する。
2019年8月29〜30日に開催された「イノベーションジャパン 2019」(東京ビッグサイト)では、多数の大学、研究機関、ベンチャー企業が出展し、500を超える研究成果を展示した。両日とも会場は多くの来場者でにぎわっていた。今回は、そのうちの一部を紹介する。
大阪工業大学 情報科学部 情報知能学科の准教授、中西知嘉子氏らのグループは、エッジデバイスでの推論処理(エッジAI)の高速化に向けた技術を展示した。推論アルゴリズムを解析して処理が重い部分を選定し、その部分だけをFPGAが処理するようにアルゴリズムを最適化している。最適化したアルゴリズムの実装には、Xilinxの「Zynq UltraScale+ MPSoC」をベースにしたAvnetの評価ボード「Ultra96」を用いた。
具体的には、物体認識/検出をするAIアルゴリズムであるYolo v3を解析。すると、中身の95%が行列演算だったという。そこで、重い処理であるこれらの行列演算をFPGAで実行させ、それ以外の演算や制御はCPUで行うようにした。加えて、処理速度を上げるための並列化や、共有メモリによるメモリアクセスなどの最適化も行った。その結果、画像1枚(608×608ピクセル)の推論にかかる時間が、「Raspberry Pi 3(ラズパイ)」に比べて10分の1以下になったという。処理時の消費電力は5〜6Wで、ラズパイ(3〜6W)と同等レベルだった。
中西氏は、「Yolo v3に限らず、画像処理はほとんどが行列演算。今回開発したアルゴリズムも、Yolo v3以外への流用にもすぐに対応できる」と述べている。
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