東大発無線通信ベンチャーのソナスは、「SENSOR EXPO JAPAN 2019」で、最新のマルチホップ無線「UNISONet(ユニゾネット)」を活用した無線振動計測システム「sonas xシリーズ」のデモ展示を行った。
東大発無線通信ベンチャーのソナスは、「SENSOR EXPO JAPAN 2019」(2019年9月11〜13日、東京ビッグサイト)で、最新のマルチホップ無線「UNISONet(ユニゾネット)」を活用した無線振動計測システム「sonas xシリーズ」のデモ展示を行った。同社は、UNISONetを活用したIoT(モノのインターネット)構築のPoC(概念検証)サービスにも乗り出している。
UNISONetは、IoT向けに同社が独自開発した、省電力のマルチホップ無線ネットワークである。「同時送信フラッディング」と「細粒度スケジューリング」の技術を組み合わせることで、通信環境の変動に強い「安定性」や「省電力」「高いスループット」「双方向低遅延」「時刻同期」などを実現。これまでの一般的なIoT無線で直面していた課題を解決することができるという。
UNISONetはこれまで、周波数帯が2.4GHzの「UN Classic」を提供してきた。1ホップ範囲は最大500mで、4ホップ時の通信速度は32kビット/秒、時刻同期精度は10マイクロ秒である。
2019年6月には周波数帯が920MHzのサブギガ版として、2つの仕様を追加した。通信速度などの性能を重視した「UN Leap」と、通信距離を重視した「UN Metro」である。UN Classicに比べて、UN Leapは同じ通信速度で1ホップ当たりの通信距離が4倍になる。UN Metroは4ホップ時の通信速度が2kビット/秒に低下するものの、通信距離は10倍に広げることができる。
展示ブースでは、UNISONetを活用した無線振動計測システムを紹介した。工場の製造ラインを想定し、複数のセンサーユニット(無線子機)とベースユニット(無線親機)を配置。モーターの振動計測やレールなどのひずみを計測し、収集したデータをディスプレイに表示するデモを行った。
無線振動計測システムのデモでは2.4GHz版のUN Classicを用いたが、システム自体はUN Leapにも対応しているという。より広範な通信が可能になることで、大規模工場内における製造設備の予知保全や、振動センサーによる高層ビルなど大型建造物の構造モニタリングに対応することが可能だ。
ソナスは、UNISONetの用途拡大に向けて、「無線評価キット」や「無線振動計測システム」の1カ月無償レンタルを行っている。また、ハードウェア製作からクラウド開発まで、同社が一貫して支援する「Dash PoCサービス」も開始した。新規IoTサービスのPoCを最短2週間で提供する。「無線振動計測システムで標準的に用意している3軸加速度センサーやひずみセンサー以外でも、必要に応じて温湿度や画像、照度などのセンサーユニットを当社で用意し、提供できる体制を整えている」(説明員)という。
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