今回は、電動化のキーデバイスである「パワーデバイス」に関してロードマップが記述した部分の概要をご紹介していく。
電子情報技術産業協会(JEITA)が発行した「2019年度版 実装技術ロードマップ」に関する完成報告会(2019年6月4日に東京で開催)と同ロードマップの概要をシリーズでご報告している。今回はその第14回である。前々回から、ロードマップ本体の第2章第4節に当たる「モビリティー」の「2.4.4 電動化」の概要をご紹介している。
前々回は自動車の電動化、前回は鉄道車両と航空機の電動化を説明した。今回は、電動化のキーデバイスである「パワーデバイス」に関してロードマップが記述した部分の概要をご紹介していく。
電子回路は、電源電圧が5Vや3.3Vなどの低い電圧による回路と、電源電圧が100Vや120V、さらには600Vや1200Vなどの高い電圧による回路に大別できる。前者は通常、小さな電流の信号(小信号)を扱うので「小信号回路」とも呼ばれる。後者は通常、大きな電流の電力を扱うので、「大電力回路」とも呼ばれる。
マイクロプロセッサやメモリ、FPGAなどの半導体デバイスは、小信号回路の集まりである。これに対して大電力回路と、大電力回路を制御する回路で構成された回路システムを、「パワーエレクトロニクス」と呼び、パワーエレクトロニクスで電力を扱う半導体デバイスを「パワーデバイス(電力用半導体デバイス)」と呼んでいる。パワーデバイスには、整流用ダイオード、パワートランジスタ、サイリスタ、トライアックなどがある。
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