今回はWestern Digital(WD)の四半期業績を説明する。同社の2020年度第1四半期(2019年7〜9月期)の売上高は、前四半期比11%増の40億4000万米ドルである。5四半期ぶりに前四半期比で売り上げが増加した。
ハードディスク装置(HDD)の大手ベンダーである米Western Digital(以降はWDと表記)と米Seagate Technology(以降はSeagateと表記)が、四半期の業績を相次いで公表した。発表日(現地時間)はWDが2019年10月30日、Seagateが11月1日である。そこで今回と次回は、WDとSeagateの四半期業績をご説明する。
WDの会計期間は7月から始まり、6月を決算月とする。10月30日に同社が発表したのは2019年7月〜9月の四半期業績で、会計年度では「2020会計年度第1四半期」となる。
2020会計年度第1四半期(2019年7月〜9月期)の売上高は前年同期比20%減、前四半期比11%増の40億4000万米ドルである。前四半期比で売り上げが増加したのは、2018会計年度第4四半期(2018年4月〜6月期)以来のことで、5四半期振りになる。ようやく、売上高の減少に歯止めがかかったようだ。
2020会計年度第1四半期(2019年7月〜9月期)の営業利益(Non-GAAPベース)は前年同期比78%減、前四半期比49%増の2億3500万米ドルである。粗利益率は24.8%で、前四半期の24.2%からわずかに上昇した。売上高営業利益率は5.8%である。これも前四半期の4.3%から、わずかに増加した。
概況としては、2020会計年度の最初の四半期は、前の四半期を超える売上高と営業利益を計上したことで、良いスタートを切れたとWDは見ている。業績の回復をけん引したのは、記憶容量重視型のエンタープライズHDDである。
支出面では前四半期の業績発表(参考記事:「HDD大手Western Digitalの四半期業績は4期連続の減収減益」)で説明した通り、経費の削減プログラムを実施した。年間では8億米ドルの経費削減に相当する。
製品開発では、HDD製品とフラッシュメモリ応用製品(フラッシュ応用品)の両方で、業界を主導していく。HDD製品では記憶容量が14TバイトのエンタープライズHDDの出荷が伸びた。開発品では、エネルギーアシスト技術による容量が16Tバイトおよび18Tバイトの従来記録方式品と、容量が20TバイトのSMR(Shingled Magnetic Recording)記録方式品のサンプル出荷を2019年12月に始める予定である。
フラッシュ応用品では、エンタープライズ向けNVMe SSDの出荷が急速に立ち上がりつつある。NANDフラッシュの生産(ビット数換算)では、BiCS4(96層)世代がBiCS3(64層)世代を追い越した。
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