部門別の売上高を見ていこう。WDは売り上げを3つの部門に分けて公表している。その3つとは、「データセンター用デバイス・ソリューション(Data Center Devices and Solutions)」部門、「クライアント用デバイス(Client Devices)」部門、「クライアント用ソリューション(Client Solutions)」部門である。
データセンター用デバイス・ソリューション部門には、エンタープライズ用HDD、エンタープライズ用SSD、データセンター用ソフトウェア、データセンター用ソリューションなどが含まれる。売上高は前年同期比6%増、前四半期比20%増の15億3200万米ドルである。前四半期比では3期連続で増加しており、エンタープライズ分野の需要が本格的な回復期に入ったことがうかがえる。
クライアント用デバイス部門には、ノートPC用HDD、デスクトップPC用HDD、コンシューマーエレクトロニクス用HDD、クライアント用SSD、組み込み用製品などが含まれる。売上高は前年同期比39%減、前四半期比1%増の16億1600万米ドルである。クライアントPC分野は依然としてかなり厳しい。
クライアント用ソリューション部門には、映像業務用HDD、映像業務用SSD、バックアップ用HDD、USBメモリ、SDカードなどが含まれる。売上高は前年同期比4%減、前四半期比18%増の8億9200万米ドルである。外付けSSDの売り上げが好調で、前の四半期に比べて売り上げが20%近く上昇した。
WDはHDD製品とフラッシュ応用品の売上高や粗利益率(Non-GAAPベース)などの数値を公表している。2020会計年度第1四半期(2019年7月〜9月期)におけるHDD製品の売上高は前年同期比3%減、前四半期比13%増の24億800万米ドルである。前の四半期に続いて売り上げが増え、1年前の水準に近づいてきた。
粗利益率は28.5%である。前の四半期に比べて0.4ポイント増加した。総販売記憶容量は、前の四半期に比べて23%増加している。
HDD製品の販売台数はPC向けが1290万台、リテールおよびコンシューマー向けが890万台、データセンター向けが750万台である。前の四半期に比べるとデータセンター向けが130万台増加し、前年同期の販売台数である660万台を超えた。PC向けは前の四半期に比べて60万台の増加、リテールおよびコンシューマー向けは30万台の減少である。平均販売価格は前の四半期から6米ドル増とかなり大きく上昇して81米ドルとなった。
2019会計年度第4四半期(2019年4月〜6月期)におけるフラッシュ応用品の売上高は前年同期比36%減、前四半期比8.4%増の16億3200万米ドルである。4四半期振りに前の四半期を上回った。
粗利益率は19.3%である。前の四半期に比べて0.6ポイント上がった。フラッシュ応用品の総販売記憶容量は、前の四半期に比べて9%増加している。
記憶容量当たりの平均販売価格は前の四半期と同じだった。平均販売価格が前の四半期と同じだったのは、2年前の2017年7月〜9月期(2018会計年度第1四半期)以来のことだ。その他の四半期はずっと、平均販売価格は前の四半期に比べて下がり続けてきた。ようやく需給バランスが引き締まってきたことが、うかがえる。
(次回に続く)
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