図4は2019年発売のSamsungの折り畳み型スマートフォン「Galaxy Fold(au版)」である。弊社では米国版、オーストラリア版などau版以外にも2機種を入手して確認したが中身(構造)は同じものであった。Galaxy Foldは故障しやすいと報道され、一部改良がなされたが、基本コンセプトは同じまま。2つのディスプレイを折りたたむヒンジの部分が重要なデバイスだ。ヒンジについて詳しく言及したいところだが、スペースの都合から省略する。もう一つ重要なデバイスが存在する。2つのディスプレイが開閉する際に必要となる伸び縮みするネットである。図4の左下のように、閉じたときと開いたときにネット部も開閉する。これがディスプレイ自体を裏面で支えている。
図5はGoogleの2019年新スマートフォン「Pixel4 XL」の様子である。Googleが長年取り組んできた空間認識の成果が取り込まれた製品である。Googleは古くはプロジェクト「Tango」、最近ではプロジェクト「Soli」で空間認識に関する技術開発を進めてきた。前者はスマートフォンとして発売され、現在はIntelに買収されたMovidiusやAppleに買収されたPrimeSenseのチップを使っていた。その後「Project Tango Tablet」も販売され、こちらはNVIDIA製のチップで空間認識処理を行っている。
プロジェクトSoliはジェスチャーコントロールを可能にするために開発が進められた。ミリ波などを用いたプロトタイプ製品は有名だ。Pixel4はドットプロジェクターなどを用いた顔認証機能とモーションコントロール機能が目玉になっている(後者は現在使えない)。出来栄えはなかなか良いが、実際に製品として使った感想は、他のスマートフォンに比べて、寄せ集め感が強いという印象を持った(Qualcommプラットフォームと画像認識の別々が存在し、内部では2つのエリアで構成されているからだ)。AppleやHuawei、Samsungらのスマートフォンは単一プラットフォームでできており、1つのプロセッサでアプリケーションから空間認識まで行っている。それに対してPixel4は2つのプロセッサに分かれており、面積でもチップ点数でも若干(実際にはかなり)デメリットに見えてしまう。ただ、Googleには今後、期待したい部分がある。
今やGoogleはセキュアチップやTPUなどを自社で賄う、半導体から最終製品までを取りそろえる垂直統合型プレーヤーの1社である。他のトップメーカー同様にプロセッサまで手に入れるべき段階にある……。
Pixel4の分解を通じてこのように感じた次第である。Pixel4の基板サイズはAppleらに比べて二回り大きいあたりにも、十分な成長の余地を感じた(その分、電池やカメラに大きなエリアを使えていないのだが)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.