802.11ah推進協議会は、今後も実証実験を拡大していく方針。2019年度内には木更津市の山間部や、相模湾の会場で開始予定という。木更津市では、山間部に散在する害獣捕獲用のオリ周辺にセンサーやカメラを設置し測定。測定場所と竹やぶを挟み約30m離れた中継地点から300m先のアクセスポイントまでデータを送る。アクセスポイントと中計地点の間には山林があり見通しなしの状態だが、測定場所では927K
kbpsのスループットが確保できるとしている。
相模湾では、定置網周辺にカメラを設置することで、漁船で移動してチェックする頻度を削減するというユースケースの検証を行う予定。海面反射などの会場における特性を測定する予定だ。このほか、農地やプラントなどのユースケース向けに実証実験を拡大していくという。
また、運営委員の酒井大雅氏は、「世界のさまざまなベンダーが802.11ahに注目し、チップやデバイスが登場している」と海外の動きを説明。日本も同様であり、富士通やピート・クラフトなどが対応デバイス提供の動きを加速しているといい、同会も今後実験試験局に順次追加していくという。
会長の小林氏は、「1年前に比べて間違いなくデバイスのバリエーションも増えている。また、NEWRACOMのチップを使用した実験ではよいデータが取れた」と話し、利用開始時期の見通しについて、「総務省などとルールの議論を進めなければならないが、2020年のある時期にははっきりとした展望が開けるだろう」と語った。
同会は802.11ah利用実現による市場規模として、2025年度までに192万台のアクセスポイントが出荷されると予測しており(国内アクセスポイント出荷数のうち10%が802.11ah対応になると仮定して試算)、酒井氏は、「802.11ahを利用することでこれまでキャッチアップできなかった課題や期待にアプローチできる。候補になりそうなユースケースをみると、この予測はかなり現実的なものになると期待している」と語っていた。
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